「天寿を全うする」ということ

〜てあて在宅マッサージ 浦和〜


 最後を迎えられた患者様の中に印象的な方がおられます。お一方は九十代後半の男性の方です。身の回りの事はご自身でできるくらいにお元気でお話し好きな方でした。
 あるとき改まった口調で「そろそろお別れの時が近付いてきたようです。今までお世話になりました」と仰るので、驚き娘様に伝えると「最近家族にも同じような事を言っているんです。何か予感がするんでしょうかね?」との事でした。
お元気なのでまさかと思いましたが、二週間後くらいに娘様から「昼寝中に静かに息を引き取りました」とのご連絡を頂きました。
 教師をされていた九十代女性の方は、難聴のためご家族があまり話し掛けてくれない事を寂しがっていました。施術中は教師時代のエピソードを沢山聞かせてくれました。
 風邪を引いてマッサージを休んでいた時、娘様から「お顔を見たいと言っているので来て頂けますか?」とのお電話を頂きました。お伺いし「早く元気になってください」とお伝えすると「お会いできるのは今日が最後だと思います今までありがとうございました」と仰いました。
 その方もその後、間もなくご自宅で静かに永眠されました。お二方ともご自身の最後を見極め旅だって行かれましたが「天寿を全うする」とはこういう事なのだと思い今でも強く印象に残っています。

浦和院 吉光寺 純子

※原文のまま