生きている実感

〜てあて在宅マッサージ 松戸〜


 私が入社してから六年が経過し、多くの患者様に訪問させていただきました。 訪問開始から五年を超える患者様が何人かいますが、その中でS・T様のお話をします。
 平成二十三年六月に訪問を開始しました。脊髄損傷によって両下肢の対麻痺となり、長期臥床の生活で廃用性筋萎縮を引き起こし、寝たきりの状態となってしまったそうです。
 施術開始当初は自力での起居動作は困難で患者を要しました。「どうせ運動したってよくならないわよ。」と運動や訓練には意欲的ではありあせんでした。それでも励ましながら運動や訓練を続けていきました。
 訪問してから約一年後には自力での起居動作が行えるようになり、「先生、自分の足で立てるようになったわ。」と嬉しそうに仰ってました。それからは運動や訓練に積極的に取り組むようになり、徐々に下肢体幹部の筋力が向上し、ADLも向上してきました。
 訪問してから二年が経過した平成二十五年には手引きによる歩行訓練を開始しました。
「歩くのは転びそうで怖いけど、やっとここまできたわって思いますよ先生。」と感慨深そうに話していました。
 それからも標準施術を継続して行い、歩行訓練は手引きからピックアップ歩行器へと段階を踏んでいきました。
 訪問してから五年が経過した現在、四輪ピックアップ歩行器を使用して見守りで歩くことが出来ています。
「先生、車輪が付いている歩行器で歩くと自分の足で歩いているのがよくわかります。
「生きていると実感します。」と満面の笑みで仰っていました。
 いつか自分の故郷に自分の足で帰れる日を夢見て、現在も頑張っています。

松戸院 小池 祐輔


※原文のまま