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2020年2月 126号

一番大事なのは自分の足で歩むこと

■担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 浦和 鈴木義則
■レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 荻原あゆみ


H.Hさん(80歳)は、23歳の時に交通事故で大腿骨を複雑骨折し、右下肢が10cm近く短いというハンディを抱えています。しかし、鋳物関係の仕事に就いてしっかりと自立し、奥様とともに充実した人生を歩んできました。昨年、車の免許を返納したことにより、外出の機会が減ってしまったHさんですが、今度は、車ではなく自分の足で外に出るための努力を続けています。

 
  ▲本日の施術を終えて、奥様のTさんと。温かな笑顔からご夫妻の人柄がにじみ出ています。いつも一緒に行動されていて、うらやましくなるほど仲の良いお二人。訪問時はいつもやさしく気遣って迎えてくださいます。(後方は担当マッサージ師 鈴木義則)
 

ハンディを乗り越え

 
  一年半前、在宅マッサージを始めた頃のHさんは、先天性股関節脱臼と事故の後遺症により、ベッドに上がるのも奥様の手伝いが必要で、一旦膝折れを起こしてしゃがみ込んでしまうと、自力では立ち上がれない状態でした。  途中、脳出血で入院しマッサージを中断したものの、日々のリハビリで回復。現在、ベッドへは自身で上がり、しゃがみ込んでしまうこともなくなってきています。  交通事故にあったのは旭川に住んでいた23歳の時でした。「バイクで大通りを走っていたとき、脇から突然トラックが出てきて衝突しました。右大腿骨の骨折がひどく、足を切断する予定でしたが、母親が切らないでほしいと医者に頼んでくれたのです」。  右足が少し短くなるというハンディを抱えながら、上京して仕事を持ち、奥様と家庭を築き、自身の足で人生をしっかりと歩んできました。  
 

「今したいことは歩くことです」/H.H

 
   
  ▲「立ったり座ったりは冬場になると辛い」というHさん。寒さで硬くなった下肢と体をマッサージでしっかりとほぐしていきます。以前よりも転ぶことが少なくなり、歩行器を使って室内を移動するリハビリを続けています。 週1回、デイサービスに行っています。手先はとても器用。友達も沢山でき、おしゃべりしながら季節の工作や食事を楽しんでいます。  
 

運転免許を返納

 
   足の不自由なHさんにとって、生活の中で車が主な移動手段となっていました。しかし昨年の免許更新は叶わず、ついに返納となってしまいました。 「ショックでしたね。何しろ60年間乗っていましたから。購入したばかりの車も手放しました」。  現在、買い物はタクシーを利用したり、ヘルパーさんにお願いしたり、外に出る機会は激減。電動車いすに乗るという手段もありますが、ご夫妻で話し合い「体のためには歩くことが一番大事」と、あえて使わないことに。そのため週2回の在宅マッサージでは、機能訓練も行いながら、自身でも室内でリハビリに励んでいます。  そんな努力の甲斐があって、最近、立ち上がり動作も安定してきているHさん。目標である「自分の足で外を歩くこと」が叶う日も近そうです。  
   

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