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2011年09月 25号  創刊2周年記念企画 (後編)

急がないっていい人生だと思う。
強がりではなく"老い"なければ
手に入らない事があると思う。


──病気や介護から連想される言葉は"辛い・苦しい・悲しい"といったマイナスのイメージだと思うのですが、島崎先生はそれを、絵手紙中で"感謝や幸せ"に置き換えて表現されてますが、どうして逆の発想ができるのでしょうか?
自宅の庭で

自宅の庭にて▲奥様の病気快癒を祈念して描かれた、364体のお地蔵さま。

私は脳梗塞で倒れるまで、雑誌社の仕事で一分一秒の時間も惜しい毎日を送ってました。
そんな私が、病気と義母の介護という想像もしなかった世界に身を置くことになった時、不思議と「神様がいいチャンスをくれたのかな」と思えたのです。
 コップ一杯のミルクに30分もかけた時、「気長になった~」と、自分でもびっくりしました。認知症の母でしたから、夜中に三度おむつを取り替えたりと大変でしたが、何を食べても「おいしいね~」踊ってみせると「上手だね~」と手をたたいて喜んでくれる。そんな母に感動し、自然と母と妻と三人の暮らしを楽しめるようになれたのかもしれません。気どり屋でカッコつけだった私を変えてくれた…育ててくれた…そう言う親に巡り合えた…やはり感謝しかないと思えるのです。

笑顔で介護できるということ。

──ここまで、介護に理解というか楽しんで下さるご主人だと、実家のお母さまをお世話する奥様にとっても、とても気持ちが楽になったのではないですか?
 本当におっしゃる通りですね。
あるときTVを観ていた母が、音に合わせ拍子を取るように机をたたき始めたんです。私が「うるさい」と言うと、主人が「やめさせようとするからイライラする。三人でたたけばイライラすることはないだろう?」と、結局は三人で机をたたいていたんです(笑)。
 そんな風でしたからいつも笑いが絶えなかった。私の気持ちを楽にしてくれました。

楽しく介護をするということ。

──最後に、先生にとって12年間のお母様の介護を振り返り思うことはありますか?
 介護という言葉はいつ出てきたのだろうと考えることがあります。 昔は子が親をみることが当たり前だった。それは親が子を生み、慈しむことと同じように…。だから義母を家に迎える時、「おばあちゃんと暮らすチャンスが来たと思えばいいんじゃないの?」って妻に話したんです。妻もまた、制作に時間のかかるちぎり絵を「おばあちゃんに、やさしくなれないかもしれない」と、 きっぱりとやめて介護に専念できたと思うのです。娘の所で世話になるということは、昔の親なら耐えきれないこと。でも認知症になったから、心を痛めることもなく 三人で楽しく暮らせたのかもしれません。この12年は明るく通り過ぎ、幸せだったと思います。

ちぎり絵   母との写真
▲40歳から始めたという奥様のちぎり絵。写真と間違わんばかりのすばらしい作品です。

──取材を終えて、改めて「月刊てあて」の表紙絵と今月の言葉を読み返しました。どの絵にもお母様への感謝と慈しみの言葉があふれ、 12年間楽しく介護をしてきたからこそ、後悔ではなく感謝なのだと気付かされました。細身の冬水仙をお母様にたとえ『胸が痛くなるほど切なく、いとおしい。』という第7号の言葉に胸が熱くなりました。先生、奥様、取材のご協力ありがとうございました。(編集部 宗岡)■ご自宅ロングインタビュー(前編)

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