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2013年9月 49号

厳しい時代を生き抜いてきたから


■担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 昭島院 松田 和吉
■レポート    /中央在宅マッサージ 宗岡 尚美


長寿の島、鹿児島県与論島出身のF・Kさん(96歳)。現在は、東京都八王子市に、二人の優しい娘さんとそのご家族に支えられながら、穏やかに暮らしています。頚椎狭窄症の手術の後遺症からか、階段を降りることもままならなかった九年前、この在宅マッサージと出会いました。「マッサージが生きがい!」と毎回の施術を楽しみにして下さっています。
 
  ▲マッサージを終えてニッコリのKさん。Kさんのベッドの上には、与論島の大きなポスターが貼られていて、なつかしい故郷へ心を誘います。右は担当マッサージ師 松田和吉。
 

 痛いけれど気持ちいい

 「あたたたた、気持ちいいー」
 20分間のマッサージの施術中、Kさんはずっとそう繰り返していました。
 血流が悪いため、からだの場所によっては触ると涙が出るほどの痛みがありますが、マッサージ後は、からだ全体が柔らかくなって、痛みがなくなると言います。
 「こんなにして、やっと生きながらえています。マッサージだけが生きがいです」。
 施術が終わり、すっきりとした顔で笑うKさん。与論島にはまだお兄さんがお元気とのこと。なんと102歳!
 「上には上がいます。でも、長生きするのも楽じゃないですよ。目は薄いし耳は遠い。からだは痛くてきついですし、足もこんなにむくんじゃって」。

Kさんの両隣は、娘さんのMさん・Yさん。右は、取材を担当した宗岡。Kさんとは「琉球 舞踊の会」でご縁がありました
 
 

 自分の家で暮らす幸せ

 若い頃は沖縄の農林省の産業試験場に勤め、先の大戦では、陸軍、海軍に所属。戦後は鹿児島県庁に就職し、定年退職後は福祉の仕事に就いて75歳まで働きました。
 赴任先の沖縄で目にした琉球舞踊が忘れられず、80歳から奥様といっしょに踊りを始めました。
 三線の音色や踊りは、辛く厳しい時代を生きてきたKさんを癒し、そしてご家族共通の楽しみにもなりました。
「今はもう、こんなになって踊れないけどね」。そう言いながら笑う笑顔がまた素敵です。
 3年前、奥様が他界されてからは、一人暮らしになりましたが、娘さんたちに迷惑をかけないよう、身の回りのことは何とか自分で行っています。
 「自分の家にいられるということが幸せです」とKさん。「在宅マッサージの先生も息子同様。みんな家族だと思っていますから」。長い人生を乗り越えてきた人の、すべてを包み込むような、温かいまなざしがありました。

 マッサージの先生は息子同様。
みんな家族だと思っています。/Kさん

▲「マッサージは、足裏から全身までやってくれるのがいいですね。
血流が悪いので、それが良くなります」とKさん。
  ▲琉球舞踊の衣装をキリリと
着こなしたKさんご夫妻。
▲「てあて通信第1号」にご登場して
下さいました。(平成17年6月撮影)
▲家の中では歩行器を使いながら移動しています。

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