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2017年12月 100号  読者の皆さまへ届けたい。「絵手紙」は心を贈る便り

たくさんの「ありがとう」を申します


私にとって絵手紙は自分の内面を
正直に綴る絵日記のようなもの… 絵手紙作家/島崎昌美

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 年齢と共に、人の力の大きさとその有りようがよく見えてくる。自分の一つの行為が成立するために、いくつもの他者の力が関わっていると気づいた時、芯から感謝の気持ちが突き上げてきて、謙虚にならざるを得なかった。
 その心境も暮らしぶりも、拙著「ありがとうを申します」の巻頭に記した通り、今も変わらない。

天地の恵み

 若い日に素通りした最も大きいものの一つに「天の恵み・地の恵み」があったと思う。
 たとえば野菜づくりで、茄子ひとつを収穫するのに、どれほど多くの知識と経験と労力を誇ってもそれは広大な天地みずからの営みの中の小事である。
 しかし、光と水と土を頂き、寒暖晴雨に折り合いをつけながら積み重ねてきた先達の知恵は、学ばねばならぬ小事の中の大事である。


▲自宅アトリエにて。この机の上から数々の季節感あふれる作品が生まれます。
 
 

私の原風景

 北に筑波山を仰ぐも、茨城県南部の平坦な農村に生まれ育った私は、風景画に興味をもった中学の頃からずっと、海山川の変化と起伏に富んだ地形に憧れ続けた。
 美校時代でさえ、ふる里の平坦地に画材は見つからず、阿蘇の風景に名作を残す画家の目で山里を歩いたり、一生かけて富士をねじ伏せると言った画家の言葉に心酔したりした。
 しかし、還暦で始めた絵手紙でいま気づくのは、何もなかった筈のふる里の大地と暮らしが、画材の宝庫であり、言葉の泉になっているということである。

絵手紙の魅力

 近くに大型スーパーが出来た時、最初に求めた画材がシメジである。
 こぶし大の塊に何十本あるだろう。数えたこともないが、その中の一本に、若い日の自分を見たのである。
 前に立つ奴が邪魔で、脇にいる奴はうっとうしかった。そして、後ろにいる者の事など見向きもしない二十代の自分がいた。
 絵手紙を知らなければ、シメジにも出会わなかったと思う。その後シメジは、支え合う姿に変わっていったが、絵手紙の面白さは怖さでもある。
 ありふれた画材に、いつも己の心が見抜かれている。

他力の支え

 これまで誌上に紹介されてきた患者さんの笑顔に元気をもらい、てあて社のご好意に甘え、大地の豊饒に生かされて心を紡いできた百ヵ月である。
 他力によらざるものは何もないと知る百号。どっちを向いても、ありがとうの絵手紙になる。
 

▲絵手紙教室で講演をする島崎さん。
▲絵手紙を知らなければ、出会う事のなかった支え合う姿のシメジ。
▲よく手入れされた自宅庭の菜園では、たくさんの草花や季節の野菜が実り、それらすべてがモチーフとなって絵手紙が生まれます。

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