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2014年6月 58号

病とともに力強く生きています

■担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 福島院 菅野 弘明
■レポート    /中央在宅マッサージ 相談員 小野 真理絵


 現役時代は教員で校長職も勤めたI・Sさん(83歳)。退職後は、奥様と二人で、地域の福祉ボランティアを熱心に行っていましたが、6年前、心臓疾患のカテーテル治療中に脳幹梗塞を起こしました。左半身に麻痺が残り、歩くのも困難な状態に。しかし、Sさんはそんな病をかかえながら、さまざまな活動を今もなお続けています。
 
  ▲「今週もまた、一緒にボランティアに行ってきます」とSさんご夫妻。お二人が主催する週一回の「ほほえみ会」以外にも、さまざまのところから講演や伴奏ボランティアを頼まれます。ご夫妻の楽しい会を、多くの方が心待ちにしています。担当マッサージ師、菅野弘明と。

 「ほほえみの会」

 「ほほえみの会」。それはSさんご夫妻が、18年間毎月開催している地域の人たちとの交流会です。
 「みなさんと普段着のままで語らい、童謡などを一緒に歌ったりしています」。
 毎月一回発行の会員紙『ほほえみ』は現在174号目。手づくりの紙面からは、心がほっこりするあたたかさが伝わってきます。
 今は、半身麻痺で細かい字が書けなくなったため、奥様がそれを引き継ぎました。ピアノでの歌の伴奏もしていましたが、左手は和音のみを押さえての演奏に。
 「指の力も弱くなったのでピアノではなくキーボードで弾いています」と残念そうにお話になりますが、半身麻痺という身体で両手を使って演奏をすること自体がたいへんなことで、周りの方はその姿に、どれほど励まされていることでしょうか。


▲入院中、奥様へ感謝の気持ちを描きためたスケッチブック。右は「あなたの笑顔がそばにいるだけで心が安らぎ生きる希望がわいてきました」という言葉が心を打ちます。
 
 
▲在宅マッサージのことは、ボランティア活動の訪問先でたまたまチラシを見て知りました。「病気になってから温泉に行けなくなってしまったので、ちょうどよかったです」とSさん。  

 80歳をすぎても
 二人一緒に活動ができる。
 待ってくれている人がいる。
 それだけで感謝です。/Sさん


 二人で一緒に

 

 かつては美術の先生をしていたというだけあり、家のあちらこちらには、色彩豊かな絵が飾られています。多くの絵の中で目に留まったのが、「お母さんありがとう」と書かれた絵手紙です。
 奥様は入院中の168日間、毎日病院に通いました。小学校の先生だったという奥様。Sさんに字を書く練習や、詩吟の方法で発声練習をさせるなど、二人で独自のリハビリをしました。また、ボランティア活動も休むことなく続けました。
 「お父さんが病気だから私がしなきゃって。80代になっても一緒に活動できて、元気でいられるのはお父さんのおかげ。こちらこそ感謝です」と微笑む奥様。
 病という困難を受け入れながら、信念を曲げずに歩むお二人の生き方に、多くの人が力づけられています。

▲会報紙『ほほえみ』は現在174号目。しっかりファイリングして、これまでの内容をいつでも振り返れるようにしています。学校の先生だったので、学級新聞をつくるように「手書き」が素晴らしい味わいです。
 
 
 

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