2014年10月 62号「生きていて良かった」という 朝から毎日が始まります■担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 所沢院 井上 祐一/千田 康之 |
▲「昨日ね、髪を刈ってもらったんですよ。伸びていたら写真撮るのにみっともないでしょう」。マッサージも終えて、一段と磨きがかかった男前ぶりです。左は担当マッサージ師の井上祐一、右は千田康之。 | ||
75歳の職人の誇り「デイサービスというのに、私も行ってみたいなぁと思うけれども、注文の電話も入りますしねぇ」と、小中学校からの発注書や献立一覧表を見せてくださいました。学校給食の注文が来れば、1回で、1600枚のこんにゃくを作ると、Tさんは言います。 「昔はその倍くらい作っていました。若い頃は、どうってことなかった階段も、今は歩くのがやっと。足がパンパンになってしまいます。それでも、注文が入るのはありがたいことですから」。 しかし現在は、ほとんど作業することができないTさんです。 「今ではもっぱら電話番が私の仕事ですよ」。 「機械も昔の道具だからメンテナンスが大変!」と、Tさん。 ところてんを押し出す突き出しという道具のことや、黒いこんにゃくには海藻が入っている事など、長く糧としてきた仕事への愛着と誇りが、そこにはありました。 |
▲工場の片隅に掛けてあるレトロな電話機。昔からずっとこれで注文を受けてきました。まだまだ現役の働きモノです。 |
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「結局ね、自分でもなるようにしかならないし、成り行きまかせですよ。」/Tさん |
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▲本当に身体が痛くて仕方がないときは、マッサージ師の到着に「待ってました!」と声を出してお迎えします。「おかげさまで生きながらえています」 | |||
一日一日を懸命に |
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若いころから懸命に働いてきたTさんですが「おいしい肴とビールで一杯が本当は楽しみなんだけどね」と笑います。 「料理本もずいぶん読んで研究しましたよ。『居酒屋やれば』なんて人からよく言われました」。 今は手が不自由になり、気持ちはあるものの、思うように料理ができない、はがゆい毎日を送っています。 「結局ね、自分でもなるようにしかならないし、成り行きまかせですよ」。 「夜寝て朝目覚めて、あぁ生きていた、良かったって。本当にそんな日々を繰り返しています」。 それでも、ある程度耳が聞こえ、目が見えるから助かっているとTさん。 「皆様のおかげですね!」。 すべての現実を、潔く受け止めた人の、優しい笑顔がそこにはありました。 |
▲工場内には、大きなタンクや水槽が配置されています。健康食として注目されているこんにゃく。学校給食用の注文の他に、直接買いにくるお客様も多いと言います。 |