月刊てあて「特集」

今月の特集

2009年9月20日<02号(2009年09月)>

白血病をはじめ病気は32種ぐらい。でも、生きるって素敵なことです。

  • レポート/中央在宅マッサージ所沢院 担当マッサージ師 小泉桂子

35万人に1人という難病をかかえ、人生のほとんどを病院で過ごしてきた方でした。どんな人にも優しく、どんな人とも友達になり、年上の99歳の方からも「お姉さんのよう」と慕われています。マッサージをさせていただきながら、私も強さと優しさをもらっています。

半生を難病とともに生きて

半生を難病とともに生きて
マッサージを終えて。Nさんは私と母と同じ歳。お誕生日月も一緒と聞くと、深い縁を感じないではいられません。これからもずっと担当させてくださいね。

白血病の一種で、血小板が普通の人の三分の一以下という35万人の1人の難病を始め、手術の輸血による薬害肝炎など、約32種の病気を抱えているというN・Hさん。若いころから人生のほとんどを病気とともに過ごしてきただけに、人の弱さや心の痛みを知っている方です。そんな彼女の周りには、優しいご主人とお子さんたち、毎日訪ねてくるお孫さん、そして病院で知り合った友達やお医者さま、看護師さんなど、たくさんのNファンがいてにぎやかです。
 マッサージの施術をしながら、そんな楽しいおしゃべりをうかがうのは、私にとってもうれしい時間です。

お正月を自宅で迎えられるという幸せ

お正月を自宅で迎えられるという幸せ
その日の体調を伺いながら、マッサージをしていきます。身体に触れていると、患者さんのどこがつらいのかが分かります。

Nさんと在宅マッサージの出会いは4年前。長い入院生活を終え、自宅に帰って療養生活が始まった時に、最初に届いた新聞の折り込みに挟まれていたのが、当社の案内チラシでした。「リハビリ中の私にピッタリだと思って、すぐに電話をしたの」とNさんは言います。最初にうかがったときに、「入退院の繰り返しで、お正月を家で迎えたことがない」とおっしゃっていたのですが、訪問マッサージをさせていただいてからは、毎年、自宅でお正月を迎えられています。少しはお役に立てているのかもしれません。

だれよりも逞しくだれよりも優しく

度重なる手術により身体は傷だらけで、お子さんが小さなころは一緒にお風呂に入るのをお子さんが怖がったと言います。
「あと1年命が持てばいい、と先生に言われたのが27年前。あと、2年7カ月生きると私、ギネスに載るらしいの!」と明るく笑います。
 一日一日の命を大切に生きているから、彼女はだれよりも逞しく、だれよりも優しいのです。Nさんと過ごす時間がこれからもずっと続いていってほしいと願っています。

一日一日を大切に生きているんです。夜になると、今日も一日ありがとうございました、明日も朝が無事に迎えられますようにって感謝します。私の日課です。(N・H)

一日一日を大切に生きているんです。夜になると、今日も一日ありがとうございました、明日も朝が無事に迎えられますようにって感謝します。私の日課です。(N・H)

病気と闘う苦しさを少しも見せず、いつも優しい笑顔のNさん。
お嬢さんの七五三や結婚式も、病院から外出許可を取って参列したそうです。