月刊てあて「特集」

今月の特集

2009年10月20日<03号(2009年10月)>

だれにも分かってもらえないつらさとともに、103歳を生きています。

  • レポート/中央在宅マッサージ水戸院 相談員 高橋光代

100人以上の患者さまを担当する水戸院での最高齢がS.Iさんです。明治38年10月27日生まれの満103歳。「自分の事は自分で」をモットーに、趣味の刺し子をしたり、マージャンをしたり、少しでも身体を動かすことを心がけながら、寝たきりにならない努力を続けています。

手のリハビリはマージャンと刺し子で

手のリハビリはマージャンと刺し子で
Iさんを囲んで。左奥が担当マッサージ師の宮本隆宏、右奥が水戸院院長の鈴木雅大、左手前が中山隼一、右手前が狩野身和子。写真を写しているのは、相談員の高橋光代。

Iさんが在宅マッサージを始めてから3年になります。変形性脊椎症と変形性膝関節症を抱えながらも、寝たきりにならない努力を日々続けていらっしゃいます。
 Iさんは、「手のリハビリはマージャン!」と自身で言うくらい大のマージャン好きです。若いころからされていたそうで、かなりの腕前と言います。また週に一度通うデイケアでは、細かい縫い目を丁寧に刺して、美しい刺し子の作品づくりをしているのですから脱帽です。ご本人は「時間つぶしにやっているだけなのよ」と笑います。

長寿の秘訣はワガママ。家族には遠慮をしないこと

「私ね、几帳面なんですよ。目の前のものがまっすぐになっていないと嫌だし、パーマネントは1年に3回、髪は1カ月おきに染めています。ちゃんとしないと気持ちが悪いの。世話する嫁はたいへんだけれども、性格だからね。言いたいことを言って、我慢をしないようにしているんです。その代わり自分でできることはなるべく自分でやるんです。長寿の秘訣は〝ワガママ〟です」。
 そんな彼女の今の一番の悩みが、夜になると足が火照って安定剤を飲まないと眠れないこと。何人もの医師に診てもらっても原因は解明できず、一人で苦しんでいます。
「きっとみんな私の歳まで生きれば、その辛さが分かってくれるのかもしれません。歳をとっても衣食住なんでも不自由をしない時代になったけれど、自分が辛い想いをしているから人の優しさが身にしみます。人に優しくするということは、大切なことだと思いますよ」。
 本誌が発刊されるころには104歳になられます。元気と若々しさの秘訣は、ポジティブ精神。 その優しい笑顔をいつまでも見ていたいので、身体の辛さを和らげるお手伝いをこれからもがんばりたいと思います。