月刊てあて「特集」

今月の特集

2013年11月15日<51号(2013年11月)>

支えてくれる家族のために、自分のために

  • 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 飯能院 篠塚多美子
  • レポート    /中央在宅マッサージ 相談員 志村千秋
支えてくれる家族のために、自分のために
「これ以上家内に苦労させないようにがんばります」とKさん。
奥様のSさんとともに、11年にわたって脳梗塞の後遺症と闘ってきました。
後ろは本日の担当マッサージ師

K・Iさん(84歳)は 11年前に脳梗塞に倒れ、右半身が不随となりました。発病直後は余命3〜4日といわれましたが奇跡的に回復し、今では、杖をついて散歩も楽しめるようになりました。「病気と一緒に仲良くやっていますよ」と笑う瞳の中に、自身に与えられた運命と闘い続けてきた強さが宿っています。

宮崎から埼玉に

宮崎から埼玉に
家族旅行のスナップ写真をコラージュして飾るのも楽しみです。「今年のお正月はどこに行くのでしょう。娘が計画しているみたいです」。

美しく整ったお庭、玄関に活けられたバラの花…、
ご夫妻のていねいな暮らしが、住まいのそこかしこにあふれています。大手建設会社に60歳定年まで勤め、現役を退いてからは宮崎の海を一望する家で、流木を使っての創作や庭づくりを楽しんでいました。
 「台風の後に海岸を散歩すると、どこかの国から流れついた流木がたくさん流れついていて、創作力をかきたてられました」。
 しかし、そんなKさんが脳梗塞で倒れ、その4年後、家が竜巻の被害に遭いました。奥様は割れたガラスを浴び、顔や手足に55針縫う大けがをしました。
 それらのことがきっかけでお二人は3年前からお子さんやお孫さんが暮らす埼玉県に引っ越されてきたのです。

こうなってしまったのは宿命です。だから、病気と一緒に仲良くやっていきます。/Iさん

こうなってしまったのは宿命です。だから、病気と一緒に仲良くやっていきます。/Iさん
以前は、手足や腰の痛みに悩んでいたというKさん。
「在宅マッサージに巡り会えて最高に幸せです」と施術を受けながら、この表情です。

優しい家族に恵まれて

優しい家族に恵まれて
左は、竜巻に襲われた翌年の新聞記事。右は、取材にあたりKさん自ら要点をまとめてくれたノート。慣れない左手で書いたとは思えない整った字です。

Kさんは、毎日、30分から1時間、多いときは1時間半、杖をついて散歩することを自身に課しています。
「リハビリはきついところもありますが、自分でやらなければいけないことですから」。
 車椅子生活を乗り越えて、杖を使って歩けるようになるまで、どれほどの努力を積み重ねてきたのでしょうか。
「こうなってしまったのは宿命です。だから、病気と一緒に仲良くやっていきます」と穏やかに微笑みます。
 埼玉に住み始めてからは、お孫さんたちが来て、買い物につきあってくれたり、家族や親戚20人ぐらいでの旅行を楽しんだりしています。
「孫は思いやりがあり、娘や息子も親孝行で、それを甘んじて受けています」と、顔をほころばせるKさん。
 支えてくれる家族のために、自身のために、Kさんの闘いはこれからも続いていきます。