月刊てあて「特集」

今月の特集

2016年7月26日<83号(2016年7月)>

ずっとやりたかった家庭菜園を 始めるまでに

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 福島院 宝槻 輝
  • レポート    /てあて在宅マッサージ     五十嵐 緑
ずっとやりたかった家庭菜園を 始めるまでに
「充実の毎日は、マッサージがあってこそ叶えられると考えています」とFさん。
担当マッサージ師、宝槻輝と。

86歳になった今も毎日の家事や趣味に勤しむF・Tさん。18年前にパーキンソン病と診断され、筋麻痺や関節拘縮などありますが、一昨年からはじめたマッサージが功を奏して、今では家庭菜園を始められるまでになりました。自身の体や、家族を思いながらの土いじりは、Fさんの楽しみであり、生き甲斐でもあります。

忙しい毎日は マッサージが支え

忙しい毎日は マッサージが支え
ご自慢の家庭菜園に案内してくれました。日々の野菜には事欠かないほど立派な菜園です。

毎朝5時に起き、お天気がよい日には車イスを押しながら家のまわりを散歩することから、Fさんの一日が始まります。
同居する息子さんと、お嫁さんをはじめ、お孫さんもみんな働いているため、自分のことは自分でしようと自立心は旺盛です。「昼間は、書道をやったり、デイサービスに行っておしゃべりをしたり。夕方になったらどんなご飯を作ろうか考え、お風呂も毎日沸かします。夜のうちに茶碗を洗って、朝ごはんを作って…と、私の一日は、すごく忙しいの」とFさん。
右の腰の不調は数年前からで、起き抜けの痛み具合でその日の天気がわかるほど、気温に左右されるのだそうです。「特別に寒い日は、膝も痛くなります。お嫁さんにすすめられ、一昨年の2月からマッサージをしていただくようになって体が楽になりました」。

「おいしいものを食べたり、作ったり、花が咲いたら眺めたり、毎日を楽しんでいます」とFさん。

「おいしいものを食べたり、作ったり、花が咲いたら眺めたり、毎日を楽しんでいます」とFさん。
背腰部に疼痛がありますが、この日は下肢の症状の緩和と、右半身を丹念にマッサージをしました。

野菜は自家製 自慢の家庭菜園

野菜は自家製 自慢の家庭菜園
立派に大きくなった玉ねぎは精魂込めて種から育てました。リハビリのためにも家のまわりの散歩を日課にしています。

体の調子が良くなってきて、Fさんはそれまで諦めていたことにも積極的になれるようになったといいます。その一つが家庭菜園です。耕うんや消毒は息子さんに手伝ってもらいながら、「ナス、きゅうり、トマトなどお家で食べる分は自分で作っています」。
とくに、自慢は玉ねぎです。昨年8月に種から育てて、こぶし大の立派な玉ねぎが、たくさん収穫できました。「うちの畑で採れるようなったから、もう買わなくてもいいよと、お嫁さんに言ったんです」と、Fさんはうれしそうに話します。
おいしいものを食べたり、作ったり、花が咲いたら眺めたり、そんな日常をFさんは楽しんでいます。「自分のことは、やれるうちはやらないと」という前向きな思いが、Fさんの明るい日常を彩っています。