月刊てあて「特集」

今月の特集

2016年10月29日<86号(2016年10月)>

「感謝する心」があれば幸せは訪れます

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 昭島院 須藤 結 
  • レポート    /てあて在宅マッサージ 相談員 関 君江
「感謝する心」があれば幸せは訪れます
Kさんの大好きな豆もやしの味噌汁に野菜もたっぷり入れて、毎朝作ってくれるご主人。
小、中学校と幼なじみのお二人は、多くを語らなくてもお互いの気持ちが分かります。
左側はご主人のAさんです。担当マッサージ師、須藤結と。

胸腰椎硬膜下血腫。この聞きなれない病に一瞬にして両下肢の機能を奪われながら、毎日が嬉しい、楽しいと、充実した日々を送っていらっしゃるK・Tさん(67歳)。「身体の不自由さを感じずに生きていられるのは、主人のおかげです」と、ご主人への「感謝」の気持ちが、尽きることはありません。どんなに辛い状況でも明るく希望を持って、乗り越えてこられたその歩みには、ご夫婦の互いを想いやる深い愛情がありました。

先が見えない不安

先が見えない不安
ベッドから車イスへの移乗は、頑張った成果です。

東京都八王子市にお住まいのK・Tさんは、40代の若さで腎臓病を患い、週3回の透析を余儀なくされていました。そんなKさんを激痛が襲ったのは、今から3年半ほど前のことです。
救急車で搬送された病院では、手術は出来ない。出来ることといったら、リハビリだけだと宣告されてしまいます。
「この先どうなるのかと不安でした。でもね、不思議と涙は出ませんでした」。

Kさんの脳裏をよぎったのは、お母様の事です。

Kさんの脳裏をよぎったのは、お母様の事です。
「マッサージは、結さんとおしゃべりをしながら、ホントに楽しみなんです」と、マッサージ師との相性はバッチリです。

お母様は認知症の症状が進行し、一人では暮らせなくなって、鹿児島から上京してきたばかりでした。
お母様の為にも頑張ろうと、すぐに気持ちを切り替え、転院して半年間リハビリを頑張りました。毎日毎日、車イスからベッドへの移乗訓練です。「でも途中ですごく辛くなって、主人に『お願いだから毎日来て下さい。あなたの顔を見るだけで安心するから』」と、1時間半かけて病院まで来てもらい、なんとか乗り切りきったと言います。

「自然体に生きられれば、どうってことないの」/Kさん

「自然体に生きられれば、どうってことないの」/Kさん
社交ダンスやフラワーアレンジメントと多趣味なご主人。
次男のお嫁さんのブーケはご主人の手作りです。

諦めない強さ

諦めない強さ
今年になって、ピアノも始めました。「息子が使っていたピアノなんですが、やってみたら楽しくて…」。毎日二人で競うように練習しています。

Kさんには、もうひとつの試練がありました。退院後の透析です。今まで通っていたクリニックに、ベッドへの移乗が自分で出来なければ、受け入れは難しいと言われてしまいます。クリニックのベッドは可動式ではありません。慣れ親しんだそのクリニックで、透析を続けたいKさんは、理学療法士に相談。台を使って移乗訓練を始めました。
腕の力だけでの移乗は、本当に大変だったと思います。それでも諦めず、とうとう通院が可能になりました。Kさんの、その諦めない強さはいったいどこからくるのでしょうか。
「好きなことをして生きられるのは主人のおかげです。元々主人は優しかったのに、私が気が付かなかったんですね」と、病気をしたことで、ご主人への『ありがとう』の気持ちがあふれます。
何も言わなくても気持ちが通じ合う。そんなお二人の幸せな日常は輝いています。