月刊てあて「特集」

今月の特集

2017年7月27日<95号(2017年7月)>

生まれてきてくれてありがとう

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 長野院 山田 信太郎
  • 相談員     /てあて在宅マッサージ 長野院 盛田 美由紀
  • 編集部     /てあて在宅マッサージ     宗岡 尚美
生まれてきてくれてありがとう
Sさんの愛称は「ちゃのまる」。最初は、「○○○」って言っていたのですが、おばあちゃんが「Sっちゃん、Sっちゃん」と言って、次に「ちゃのちゃん」って呼ぶようになり、そのうち「ちゃのまる」に。ちゃのちゃんの笑顔にスタッフも癒されています。

新緑がまぶしい長野県・飯綱高原。その広大な自然の中で暮らしているS・Sさんは、重度の障害を背負ってこの世に生を受けました。歩くことも、話すことも出来ない彼女ですが、不思議なほどその周りは明るく希望に満ちています。訪問マッサージという、ご縁をいただいた私たちも、その魅力とご家族の愛に触れ、生命の尊さとは?幸せとは?を改めて心に問うよい機会となりました。

絶望から希望の光へ

絶望から希望の光へ
手足のマッサージの後は、身体を起こして、背中のマッサージを丹念に行います。「山田さんに背骨の間や肺の後をマッサージしてもらうと、痰の詰まりが良くなって、酸素が入りやすくなるんです。マッサージってほんとすごいんですよ」とMさんも絶賛してくれます。

昭和50年4月3日、K・Sさん・Mさんの長女として誕生したSさんは、出生時に受けた脳損傷のため、一度も歩くことなく、先日42歳のお誕生日を迎えました。その年月は、脳の損傷からくるてんかん発作や呼吸困難など、いつ起こるかもしれない体調の変化に、生と死が常に隣り合わせの日々だったと、お母様のMさんは話します。
今も 時間、目を離すことが出来ません。「毎年、毎年、今年はダメかもしれない」と思いながら風邪をひかないよう、発作が起きぬようにと、妥協を許さないご両親の愛が、今日のSさんを支えています。

娘は私のお師匠さん

  • 今では、私の光の天使になりました
娘は私のお師匠さん

ご両親にとって、Sさんは、親娘の関係を超えた特別な存在です。「私たちは、娘に守られているんだなって、守ってあげているなんて違うと思うんです。弱者と思われている立場の人達こそ、本当は強者なんだと思うことがよくあります。健常者や健康度の高い人が意識を失ったり、呼吸困難になったらきっと大騒ぎしてしまうでしょう? 発作の痛みや床ずれだって、自分で寝返り出来ない辛さとか、手が使えない辛さとか、私に言ってもうまくキャッチできない苛立ちとか、よく耐えているな、本当にえらいなと思います」と語るお母様のMさんですが、ここまで来るまでの過程は想像を絶するものだったと思います。それは『早穂理・ひとしずくの愛』(原書房)や『現代人の伝記』(知致出版)など数多くの書籍でも紹介されています。

今後のことを問う質問に

今後のことを問う質問に
厨房スタッフのWさんが描いたイラスト「ちゃのまる」。カフェのメニューにもなっています。

「娘のことは一日一日。私ももう70歳になっていつ逝くかわからないので、一日でも永く一緒にいられるよう私たちも健康管理に気を付けなくてはいけないけれども、娘が「一日幸せだった」と思えるようにしていきたい。そう話すMさんの優しい笑顔には、無限の母の愛がありました。

Sさんがたくさんの人々を繋げています

Sさんがたくさんの人々を繋げています
子供のころは、少しだけ立つことが出来た時もありました。本当に大勢の人に恵まれここまできました。
Sさんの貴重な一枚一枚です。