月刊てあて「特集」

今月の特集

2018年10月28日<110号(2018年10月)>

胸の中に、溢れるような感謝の思いを

  • てあて在宅マッサージ 飯能

「緊張しちゃうわ」と言いながらも、取材中たくさんの笑顔を振りまいてくださったK.Mさん(80歳)。大好きだという歌も、アカペラで披露してくださいました。 脳梗塞、圧迫骨折、パーキンソン病など複数の病気を抱えながらも、いつも明るく朗らかなKさん。秘密は小さな頃からのお父様の教えにありました。

一生懸命生きて

一生懸命生きて
デイサービスで作った、折り紙のひまわりを持ってにっこり。「時間になって帰っちゃうと寂しくなっちゃうわ。来週も楽しみ。本当にありがとう」とKさん。 後方は担当マッサージ師の竹内明梨。

困った人は放っておけない、ついつい色々な人の面倒を見てしまうという喜美江さん。「この間もデイケアセンターの方から新しい人が来るからよろしくね、と言われてしまって…」と笑います。
若い頃は、料理好きだったことから、埼玉県の自衛隊入間基地の食堂で働いていました。
実のお母様が入院した時は、その病院の食堂で働きながらお母様の介護を13年間されたという話からも、Kさんの面倒見の良い人柄がうかがえます。
そんなKさんが、脳梗塞で倒れたのが15年前。仕事中のゴミ出しの最中、ゴミ袋の上に倒れて身体への衝撃は少なかったものの、仕事に復帰するのは不可能になり、自宅での療養生活になりました。

しっかり自分と向き合って、笑顔で感謝の気持ちを持ち続けます。

しっかり自分と向き合って、笑顔で感謝の気持ちを持ち続けます。
下半身の筋力アップと歩行状態の改善を目標にマッサージをしています。マッサージ中はたくさんの楽しい話で盛り上がりますが、「お母さんは元気?お父さんは大丈夫?」と声がけしてくれることもあります。 楽しいマッサージの時間が終わり、みんなでVサイン。(右側は相談員の志村千秋)

感謝の気持ちを忘れずに

6年前、腰椎圧迫骨折になってから車椅子生活となりましたが、現在は、ご本人の努力により、家の中では四点歩行器を使用して、なんとか一人で動けるようになりました。
「私は『だめだ、だめだ』っていう気持ちがいつもいっぱいあるの。でも、みなさんに元気づけられてここまで来ることができました。本当に感謝しています」。
マッサージは、毎回とても楽しみにされていて、終わるといつも「ありがとう。楽しかった」と嬉しい言葉をかけてくださいます。
その話を改めて喜美江さんにすると、「父親の昔からの口癖だったんです。ありがとうの気持ちをいつもここに入れておけって、胸をさして」と、懐かしそうに教えてくれました。
そして「だからね、どんなに自分が辛くても、しっかり向き合って、笑顔で感謝の気持ちを持ち続けようと思っています」。
常に明るく朗らかに振る舞えるのは、誰よりも強い心を持っているからなのです。