月刊てあて「特集」

今月の特集

2019年4月28日<116号(2019年4月)>

「特集・在宅マッサージにまつわる感動体験!2019」

「ことばのてあて」

「ことばのてあて」

「ご両親はお変わりないですか?」。
訪問中、私の両親の事情を知る患者様から激励の言葉を頂きます。私が励ます側でなければならない所、本当に頭がさがる思いです。
皆様の温かい言葉の『てあて』に励まされて、今の自分がいます。

 5年前、父が脳梗塞で倒れ、同時期に母の認知症が見つかりました。当時の職場を介護離職し、一時期は、宅配会社で深夜勤務をしながら遠距離介護をしていました。やがて両親の介護と仕事を並行するうちに過労で倒れてしまい、それを機に両親は施設へ入所することに。
同世代の友人たちが夢や子育ての話に盛り上がる中で、孤独を感じていました。

 その後、縁あって在宅マッサージの仕事に就くことができ、この仕事を通して多くの患者様の優しさに触れ、自分はひとりじゃないと感じました。  当初は両親の事を伏せていましたが、少しずつ患者様にお話しする機会も増えました。

闘病の葛藤や悩みを抱えながらも、「応援しているよ」と他者である私を気遣ってくださる皆様の優しさ。挫けそうな時も、言葉のひとつひとつが灯台の明かりのように自分を導き、鼓舞させてくれます。
皆様への感謝を忘れず、もっとお役に立てるよう、これからも精進して参ります。

てあて在宅マッサージ水戸/粕谷純子

「笑顔のチカラ」

「笑顔のチカラ」

初訪問は先任施術者から引き継いだ患者様でした。
 難病を患い、ご自身で身体を動かすことも喋ることも出来ないため、コミュニケーションは僅かな表情のみ。加えて先輩施術者からも難しいと聞いての訪問でした。

 初対面は、ひときわ緊張と不安がありました。でもその方は身体の状態が良くない上に自分の想いを伝えられないなか施術を受けるため、私よりもずっと緊張して不安を抱いていたことでしょう。
 そんな状況のなか、施術や声掛けに対して笑顔を見せてくれたのです。その笑顔に安堵したことは言うまでもありません。ぐっと距離が縮まったように感じました。
 お話しすることは叶いませんが、『笑顔』はどんな言葉より優しく温かいメッセージを伝えられることを教わりました。
調子が優れずあまり笑顔が見られない時期もありましたが、今でも訪問する度に見せてくださる素敵な笑顔から、たくさんの力を頂いています。

てあて在宅マッサージ松戸/髙橋峻也

「冷やし中華とおはぎと諺が好きなアメリカ人」

「冷やし中華とおはぎと諺が好きなアメリカ人」

Eさんと私の会話は英語が話せない私を忖度して99%が日本語。
デイサービスで覚えた童謡を披露したり、またある時には「イスィ ノ ウエニモ サンネーン」と諺にも挑戦。好きな食べ物は冷やし中華とおはぎ。

そんなEさんを語るに忘れてならないのが笑顔の素敵な奥様の存在です。アメリカ生まれの日本育ち、日常会話のほとんどは日本語で通じ、Eさんと私の会話が噛み合わない時に同時通訳で助け舟を出してくれます。どんな些細なことでも「Thank You」と奥様に感謝の言葉を口にするEさんと笑顔で寄り添う奥様を見ていつも癒しを頂いています。
 今年の3月で脳梗塞で倒れてから13年、私が担当を任されてから間もなく10年が経ちます。施術ノートは14冊目を数え、脳梗塞後遺症による右半身の麻痺は不自由ながらも杖で散歩をし、言語障害は童謡を歌い、諺を覚え少しずつ回復してきました。

 あれはクリスマスを翌週に控えた昨年末の訪問日のこと。
 施術が終わりいつものように「また来週会いましょう」と私が言うとEさんが日本語と英語を交えて何か話しかけてきました。残念ながら理解できない私に奥様が通訳をしてくれ、「彼はこう言っていますね。来週の火曜日はクリスマスで私達にとってはとても大切な日です。でも今は佐野先生のマッサージの方がもっと大切です。また来週も必ず来て下さい」と。
 アメリカ人で神聖なクリスチャンのEさんにとってクリスマスは大事なイベントです。「オフコース! オフコース! オフコース!」。3回も繰り返す私でした。
 Eさん、新しい諺をまた一緒に覚えましょうね。

てあて在宅マッサージ所沢/佐野貴志