月刊てあて「特集」

今月の特集

2020年4月20日<128号(2020年4月)>

在宅マッサージにまつわる感動体験!2020

今年も恒例となりました「在宅マッサージにまつわる感動体験!2020」の社内コンペティションの公募にたくさんの体験エピソードが寄せられました。
それはてあてスタッフたちが織りなす、日々の業務の中での涙あり笑いあり…の感動体験ストーリー。ときに励まされ和まされ勇気づけられ、それが私たち「てあて」のモチベーションにもなっている——。今号では、その中から3名をご紹介します。(編集部)

「最高のプレゼント」

  • てあて在宅マッサージ 福島 /関美穂
  「最高のプレゼント」

最大限の感謝の意を表し見送って下さったH様。その日のことを思い出すと今でも胸が熱くなります。
 H様は両膝に変形があり歩行器が手放せません。夜間も膝の疼痛に悩まされ、眠れないこともしばしばあったようですが、「マッサージをした日は良く眠れるの」と訪問をいつも楽しみにして下さっていました。H様と私は同郷で、施術中は地元のことや子育てのことなど話は尽きず、本当の家族のように接して下さいました。
 H様は認知症の症状もあり、徐々に日付や時間の感覚が曖昧になり同じお話を繰り返すことも次第に増え、昨年、自ら希望し施設へ入所することになりました。希望したこととはいえ、引っ越しが近づくと日に日に不安なご様子。「大丈夫です!Hさんならすぐにたくさんお友達ができますから」と励ますと、「そうよね」とにっこり笑顔になられていました。
 最後の施術が終わると、その日は玄関までお見送りをして下さいました。そして真顔になったH様は、なんと三つ指をつき「先生のことは一生忘れません。ありがとうございました」とご挨拶して下さったのです。とても正座ができるお身体ではありません。どれほどの痛みだったでしょう…。また、私のことを記憶に留めておきたいと思って下さっているお気持ちに感激し、涙をこらえるのがやっとでした。
H様は私の顔も名前ももう忘れてしまっているかもしれません。けれど、H様から頂いた最高のプレゼントを私は決して忘れません。H様のことですから、きっとお友達と楽しい日々を過ごされているのだろうと願うばかりです。

「ポンポンポン」

  • てあて在宅マッサージ 松戸 /小池祐輔
「ポンポンポン」

訪問して5年以上のK様。右麻痺で廃用となり、寝たきりの状態。失語症で発語がほぼ無く、活動意欲も低下。声掛けには何度か問いただし、頷いて頂ける程度で、表情も乏しく、気持ちを汲み取るのが難しい状況です。
 そんな中、唯一しっかりと意思を伝えることがあります。それは立位訓練です。立位訓練は、マッサージと違い立つことでベッドや車椅子の時とは違う風景になり、胸が高鳴るのでしょう。無表情のまま進む施術中、「立ちますか?」の問いかけに表情を変え、しっかりと頷きます。その際にパーを出し、「5回立ちたい」の意思表示です。身長180センチ、全介助で5回立たせると、私の背中を左手でポンポンポンと優しく3回叩きます。私はそれを「ありがとう」だと受け取り、奥様は「お父さん良い顔してる。嬉しいよね」と喜びのお言葉。施術後には決まって、握手、タッチ、グータッチ!
その優しいポンポンポンを、いつまでも背中で感じられるように、一緒に立位訓練をおこなっていきます。

「そっと飴を握らせて」

  • てあて在宅マッサージ 相模原 /畑井祐子
「そっと飴を握らせて」

片麻痺で左手が握り拳のままで拘縮してしまっている女性がいます。
指や手掌を開くリハビリはとても痛くて、いつも「痛い、痛い」「もう今日はいいよ」と言いながらも、笑顔を絶やさずに頑張っておられます。その甲斐あって、少しずつ指が開くようになってきています。
 ある日、いつものようにリハビリをしていると、此方の手に飴を一つ、ねじ込むように握らせてきました。
「??? 何ですか?」
「ワイロ。お手柔らかに」
そう言って、いたずらが成功した子供のような満面の笑み。意外なセリフと笑顔に思わず笑ってしまいました。
 痛くて辛いリハビリを、笑顔とユーモアで頑張る女性に此方が癒される思いがしました。



第116号の「在宅マッサージまつわる感動体験2019」もぜひ、御覧ください。