月刊てあて「特集」

今月の特集

2010年3月20日<08号(2010年03月)>

笑っていれば元気が出てきて、元気になれば、長生きできていいことあるかなって思うんです。

  • 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 浦和院 松原 信也
  • レポート    /中央在宅マッサージ 相談員 荻原 あゆみ

T・Yさん(73歳)は、関節リウマチで、首にプレートを入れて固定する手術をした8年前から、車椅子の生活となりました。夜も座った姿勢のまま就寝するという毎日を続けています。そんな彼女を陰日向で支えているのが、夫のHさん(72歳)です。ときにはケンカしながらも、支え合い、笑いあうお二人から、夫婦の絆の強さ、たくましく生きることの大切さを知ることができました。

身体を動かすことが、元気につながって

身体を動かすことが、元気につながって
「長い付き合いの病気だから、つきあっていくしかないんです。だから痛くても毎日、手足を動かす運動をしています。そうすると不思議と気持ちが軽くなって、身体も軽くなってくるんです」とYさん。

Yさんに初めてお会いしたのが昨年の9月。車椅子に座ったまま身動きができなく、手足には強い浮腫があり、たいへん辛そうな状態でした。しかし、ご自身の毎日の努力もあって、今では、足踏みや立ち座りのほか、車椅子を杖代わりにして、室内を行ったり来たりすることもできるように。その回復ぶりには驚くばかりです。
「在宅マッサージを初めてからは、逆に身体を動かさない日があると落ち着かなくて。先生にアドバイスされた通り、朝起きたら痛くても、まず手足を動かしているんですよ」とYさん。さらに、「一週間に一度、お風呂の介助を受けるときも、足が前に進むようになって、介助の方にほめられたんです。それがまた励みになっています!」とうれしそうに語る目は、まるで少女のように輝いています。

支え合い、笑い合えるパートナーの存在

「家の中に1日こもっていると、ついイライラしてお父さんにあたってしまうんです」(笑)。手足がだいぶ楽になったとはいえ、基本的には車椅子の生活。買い物はもちろん、家事もできません。夫のYさんが、仕事を持ちながらも、三度の食事作りを始め、Yさんが出来ないことを支えるパートナーになっています。「今朝もケンカをしたばかり」と笑うお二人ですが、そこには夫婦の強い絆が宿っています。
「けっして治る病気ではなく、長くつきあっていくしかないんです。だから辛くても、いつも笑っていられればいいかなって。笑うと元気になるし、長生きできていいことあるかなって」。 
 パンパンに浮腫していた足もすっかり細くなり、暖かくなったら、杖で外を歩く練習をしたいと目論んでいるのだとか。春の優しい光の中で、また一歩、元気になったY.Tさんと笑い合うのが今から楽しみです。