今月の特集
2010年7月20日<12号(2010年07月)>
何よりも自分らしく、「好き」を味方につけて。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ昭島院 木村 大介
- レポート /中央在宅マッサージ相談員 南 三枝子
東京都八王子市の住宅街にT・Tさん(88歳)の家があります。転倒で足を骨折してから車椅子が必要の生活となりましたが、今は不自由を支えてくれる家族に感謝しながら、身の回りことをできるだけ自分でこなすようにしていると言います。空いた時間には、庭の草花をスケッチしたり、書道や水彩画をたしなんだり、折り紙の作品を作ったり・・・、そこには自分らしく生きるTさんの、穏やかな時間が流れていました。
手先の器用さを生かして自己実現
娘時代は、糸を捩(よじ)って筬(おさ)に通して織っていくという細かい作業をこなしていたTさん。
手先が器用という長所は今も変わらず、空いた時間には、ヘルパーさんに教えてもらったという折り紙や、書道、水彩画、庭の草花のスケッチを楽しんでいらっしゃいます。
そしてそのどれもが、玄人肌で、Tさんの感性がしのばれる素晴らしい作品ばかりなのです。
身体を動かすことがままならない生活が続いても、好きなことで自分自身を表現しながら、自然体で生きようとされています。
家族への惜しみない愛情と感謝の心が、健やかな日々の糧になっているのです。/T
健やかな日々を家族に感謝しながら
腰痛と脊柱管狭窄症という病気に加え、転倒から骨折したのが10年前。車椅子での生活となったTさんを支えるのが家族です。
ご長男夫婦とともに住む家は、以前は2階建てでしたが、車椅子でも動きやすいようにと平屋に改築しました。
部屋の襖を開け放てば、廊下を通じて緑豊かな庭が広がり、季節の移ろいを部屋にいながら知ることができ、創作意欲をかきたてます。昼間は毎日娘さんやお孫さんや姪御さんが交代でやってきて食事や掃除などを手伝い、庭の草花の手入れもしてくれます。
お子さんやお孫さんの話になると穏やかな表情に優しい眼差しが輝きます。つい最近、誕生日を迎えられたTさんを囲み、米寿のお祝いも皆さんでされたそうです。家族への惜しみない愛情と感謝の心がTさんの健やかな日々の糧となっているのです。