今月の特集
2010年9月1日<14号(2010年9月)>
何もできないとあきらめないで!幸せは自分でつかむもの
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ浦和院 松原信也
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 荻原あゆみ
K.Iさん(77歳)は、10年前からの白内障に続いて、平成21年11月6日に脳梗塞で入院。翌年の2月8日に退院しましたが、左上下肢麻痺や言語障害などさまざまな後遺症を抱えることになりながら、ご自身の病気と前向きに取り組んでいます。
「この夏は那須温泉に行ってきました!」と、お会いするたびに元気になっていくIさん。その回復力の陰には、ご家族の支えと毎日のひたすらな努力がありました。
自立心と責任感の強さが回復力となって
「昨日もおしりから転んでしまって。お客さんに待ってて~って言って、母を起き上がらせてあげたんです!」「左ひざがたまにカクンとなっちゃうのよ」と気の置けない母娘の会話が飛び交います。
「娘は自宅で理容室をやりながら、私の面倒を見てくれて、何の不満もないのですが、なんとかしなくちゃ、できることは自分でやろうと思ってしまうんです」。
「母は人にやってもらうより、自分でやりたい人なんですよ」。
退院したばかりのころは、言葉がうまく出なくなり、娘さん家族が夜2階に上がると、1階で一人「あ、い、う、え、お」と発生の練習を毎日していたのだと言います。
かつては病院の家政婦さんとして働いていたというIさんの自立心と責任感の強さが、回復力につながっているのです。
一人では何もできないからと、外に出ない方がいますが、私は、そういう人に、「幸せは自分でつかむものよ」と教えてあげたいんです/I
もう一度好きな本を読みたい
Iさんは、ショートステイやデイサービスなどを利用して積極的に外出をします。
「いろんな人とおしゃべりすることが脳のリハビリなんです。今でも、一人では何も出来ません。何もできないからと、外に出ない方がいますが、私は、そういう人に、『幸せは自分でつかむものよ』と教えてあげたいんです」。
この夏は、娘さんが身体障害者用の車を購入してくれて、家族みんなで那須に温泉旅行に行ってきました。現在申請中の身体障害者の認定が下りたら、白内障の手術をして、もう一度、好きだった本を読みたいと、希望に胸を膨らませています。
今日よりも明日、明日よりもあさって、ひたすらに生きる人の未来は、幸せに向かうようになっているのだと、彼女と過ごす時間の中で学ぶことができました。