月刊てあて「特集」

今月の特集

2011年5月1日<22号(2011年5月)>

介護は楽しい!母と一緒にいられて幸せです。

  • 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 座間院 四津谷 園子
  • レポート    /中央在宅マッサージ 相談員 川島健一

T.Yさんは昭和3年生まれの82歳。平成19年2月に脳梗塞で倒れ寝たきりとなりました。現在は長女のM.Oさんが家に引き取り、懸命な介護を続けていらっしゃいます。「どんなにつらいときも決して涙を見せない芯の強かった母が、今までは、すっかり子どもの甘え顔になっています」とMさん。そんなお母さんとのやりとりや想いを、Mさんは詩集『たまちゃん そしてみんなに ありがとう』にまとめました。そこには、母娘の絆と愛があふれています。

娘が母に、母は娘に。

娘が母に、母は娘に。
「長いようであっと言う間だった4年間。倒れる前より、母と接する時間が長くて楽しくて、一緒にいられるだけで今は幸せです」とMさん。Tさんもいつも幸せそうな顔をしていらっしゃいます。

マッサ マッサ と
待ちきれない
寝たきりだもの
痛いところ
たくさんあるんだね
もうすぐ来るよ
マッサージ

これはMさんの詩集『たまちゃん そしてみんなに ありがとう』の中に収められた詩「ありがたい」の一部抜粋です。
「母と一緒にいられることの幸せな気持ちを形に残したくて、家族や介護を支えてくださる方への感謝を込めて」と50冊だけ自費出版されました。
 脳梗塞で倒れてから4年。Tさんは、自分から物事を伝えるのが次第に難しくなってきていて、Mさんでさえも何を言っているのかがわからなくなってきていると言います。
「娘ですが、私は親のつもりで、母は子どものつもりでいます。先日『たまちゃんは私の子ども?』と聞いたら『うん!』とうなずいてくれました」。

「娘ですが、私は親のつもりで、母は子どものつもりでいます。いつか『たまちゃんは私の子ども?』と聞いたら『うん!』とうなずいてくれました」。M(娘)

「娘ですが、私は親のつもりで、母は子どものつもりでいます。いつか『たまちゃんは私の子ども?』と聞いたら『うん!』とうなずいてくれました」。M(娘)
3年前から定期的に在宅マッサージを行うようになりました。今では、マッサージを楽しみに待っています。/マッサージの最中も、こうしてマッサージ師の手を握って放さないTさん。親愛の情の表現です。

介護は楽しい!

介護は楽しい!
本の表紙+中頁の写真
Mさんの詩集『たまちゃん そしてみんなに ありがとう』は好評につき100冊増刷することになりました。お問い合わせは「月刊てあて」編集部まで。

Tさんは、かつては駄菓子屋さんをやっていたこともあり、人と接するのが大好きです。家にだれかが訪ねてくると必ず手を握り、時には顔を近づけて親愛の情を表します。「そうすることで、母も安心するのだと思います」。
 娘に見守られながら幸せの時間を生きているTさんは、いつも顔色が良く、穏やかな表情をしています。そしてTさんもまた、娘に思いやりと愛情を持って接しているのが伝わってきます。
「介護は楽しい、まったく苦にならない」と言い切るMさん。深い絆で結ばれた母娘の、親密な時間が流れています。