今月の特集
2011年10月1日<26号(2011年10月)>
80歳を過ぎれば不安なこともいっぱい。でも、「独り」ではないからがんばれます。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 昭島院 藤嵜亮太郎
- レポート/中央在宅マッサージ 相談員 南 三枝子
たった一人のご子息は若くして亡くなり、5年前にご主人も病死。75歳から一人暮らしとなり、今年80歳となったS.Sさん。
9年前に大腸がんの摘出手術をしてから、首、肩、膝の痛み、腰痛などに悩まされるようになりました。また、4年前には、強度なストレスからくる顔面神経麻痺を発症し、今は頚椎症、腰椎症を患っています。しかし、いつも明るく迎えてくださるSさん。
そこには、一人という孤独と戦いながらも、人には優しく、自身には強くありたいと願う生き方がありました。
5年目に入った一人暮らし
東京は八王子の静かな住宅街にSさんのお住まいがあります。手入れの行き届いた庭と清潔なお部屋。壁には若い頃から習われてきたという「南画」が飾られています。
私達が詩情豊かなそれらの絵に見入っていると、「『南画』は、中国から伝わった絵なんですよ。特徴は、絵に対して漢詩などの言葉が入ることです」と分かりやすく説明してくださいました。
素晴らしいご趣味を持つSさんですが、5年前にご主人が他界されてからは、不安と戦う日々と言います。
「80歳になると急に弱気になるのね。周りにいる90歳の方だって元気なんだからがんばらなくてはと思うのですが、何かあったときにどうやって一人で乗り切ればいいのか…と不安に苛まれることがあるんです」。
「人との縁に恵まれて、私はみんなに助けられながら生きています」/S
だれかに助けられて生きている
今、一番の楽しみは毎週の『在宅マッサージ』とSさん。
「初めて藤嵜さんにお会いした時から、この方だったらいいなと思ったんです。いつも『今日の体調はいかがですか?』って聞いてくれて、話しを聞いてくださって、それだけでも本当にうれしいんです。勧められた自分でできるお灸も、毎日おふろ上がりに実行しています!」。
デイサービスを初め、毎週1回はリハビリを兼ねてピアノのレッスンを受け、月に一回は『独り住まいの会』という談話会に出席されていると聞くと、周囲との関わりをしっかりと持ちながら前向きに人生を歩んでいらっしゃるのがわかります。
そして、「人との縁に恵まれて、私はみんなに助けられながら生きています」と、常に人には感謝の気持ちがあふれます。
一人であっても『独り』にはならない、彼女らしい生き方がここにあります。