月刊てあて「特集」

今月の特集

2012年6月1日<34号(2012年6月)>

次は米寿で個展。生きている限りはやりますよ。

  • 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 飯能院 石崎誠
  • レポート/中央在宅マッサージ 相談員 志村千秋
次は米寿で個展。生きている限りはやりますよ。
いつも笑顔をリードするMさんと、撮影で少し緊張顔の担当マッサージ師石崎誠。右端は相談員の志村千秋です。

K.Mさん(84歳)は、明治時代から続く宮大工の家の3代目として数多くの神社や山車などを造りあげてきました。また入間市に民謡協会を創設したり、選挙管理委員長を歴任するなど、地元の名士でもあります。パーキンソン病で歩行が困難になってからは、一人こもり木彫りの制作に力を入れていますが、「毎日飽きないよ」と言うくらい、家族やお弟子さん、掃除のおばさん……、工房には常に人が出入りし笑い声が耐えません。Mさんの人を引きつけてやまない魅力に迫ります!

木と共に生きる

木と共に生きる
個展準備の手伝いでいらしてた娘さんと。4人の娘さんと10人のお孫さんがいます。

道具が300種類以上ズラリと並ぶ工房は、木の香りがいっぱいに満ちたMさんの小さなお城です。3日後には木彫りの個展が控え、少し慌ただしい毎日を過ごしています。
「還暦から始め、賀寿などの記念の年に個展を開催しています。毎回100名以上の人が観に来てくれます。7回目の今年は辰年の年男ということで開催することにしました。いろいろなジャンルの木彫りがありますが、仏像や能面、レリーフなどさまざまな種類を一堂に会して観られるのは私の木彫展ぐらいで、その道の人から見ると珍しいことなんです」。
 壁のポスターには味わいのある筆文字で「木と共に生きる K.M 木彫展」と書かれています。家業を継ぎ、頭領として数々の複雑な建造物をつくりあげ、今また木彫りの一作家として邁進する人生そのものを表した言葉です。

「毎日人が来てあっちでバタバタ、こっちでバタバタ。 いろんな人が出入りして 飽きないよ!」/M

 「毎日人が来てあっちでバタバタ、こっちでバタバタ。 いろんな人が出入りして 飽きないよ!」/M
マッサージの後は、歩行器を使用して動作確認を行います。ケアマネージャーの宮岡さん、関口さんとの会話もはずみます。

元気の陰には勉強と努力

元気の陰には勉強と努力
現役時代に手がけた寺や神社・教会等、大仕事をやり遂げる傍ら、民謡そして木遣りはお弟子さんもいるプロです。

「パーキンソン病の『パーキンソン』はイギリスの博士の名前で、1817年に初めて報告されたことから付いた病名なんです」。興味あることは聞いて勉強し何でも覚えているというMさん。現役時代も、例えば天理教の建物ならば天理教の宗派の勉強を徹底的にしたと言います。
「女性が話したことも全部覚えていますよ!」。そんなふうに私たちを笑わせてくれる陰で、ご自身の病気についてもかなり詳しく勉強している様子で、運動療法ほ積極的に行い、病気の進行と闘う努力を続けています。
 次の個展は88歳の米寿とか。
「生きているかぎりやりますよ!」。そのやわらなか笑顔が、Mさんが制作する翁の能面「白色尉(はくしきじょう)」に重なりました。