今月の特集
2012年7月1日<35号(2012年7月)>
自分のために、明日のために。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 松戸院 芦葉武士
- レポート/中央在宅マッサージ相談員 剣持智香
88歳とうかがうと、びっくりするほど若々しく姿勢の良いT.Tさん。それもそのはず、弓道をずっと趣味にしていらっしゃったと言います。脳出血で倒れてから8年目。「孫の成人式までは元気でいたい」とリハビリや、奥様特製の健康ドリンクを毎日飲んでがんばっています。また、根っからの巨人ファンということで、取材の日もマッサージ師と野球話で盛り上がりました。
割り算だって大丈夫
「巨人軍は今日勝つとセ・リーグで初の交流戦優勝ですね」「最初は調子悪かったけれど、最近はよく勝っているね~」。
在宅マッサージが始まるやいなや、担当マッサージ師の芦葉とプロ野球話に花を咲かせています。脳出血で倒れた後は、思うように話せない時期もありました。
「まだまだ思った通りの言葉がパッと出なくて、いらついてしまうことはあるんですけどね」とTさん。ベッドの近くにはノートと筆記用具が置かれ、左手で字を書く練習や計算問題を解くなどのリハビリセンターからの宿題を毎日欠かしません。
「割り算なんて尋常小学校以来ですよ。でも、リハビリの先生に答え合わせをしてもらったら、全部あっていました。まだまだ捨てたものではないですね」と、チャメッ気たっぷりな表情を見せてくれました。
毎日元気でいることが今は一番大事なこと。孫の成人式までがんばります。/T
がんばる姿を孫に
実はTさんがこの取材を受けたのには理由がありました。「孫の写真が、高校の学校案内に掲載されたんです。それを見て、おじいちゃんもがんばっているところを見せたいと思ったんです」。
そして「お父さんよりもおじいちゃんのほうが好き!」と言ってくれるかわいい孫が成人式を迎えるまでは、元気でいたいというのが、今の一番の願いです。
そのために、奥様が毎日つくってくれる「ゴーヤ・バナナドリンク」もゴクゴクと飲んでいるのだそうです。
第二次世界大戦ではシベリアに拘留され、想像を絶するつらい体験を乗り越えてきました。「そのときの苦労は今でも忘れることができない」と言います。
忍耐と辛抱、そして、明日を諦めないことの大切さを、Tさんは誰よりお深く知っているのです。