今月の特集
2012年10月1日<38号(2012年10月)>
「今日も良い一日だった」と思える生活をしたい。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ所沢院 日置真依子
- レポート/中央在宅マッサージ 相談員 間 明日香
埼玉県志木市の静かな住宅街の一角に、T.Y子さん(83歳)はお住まいです。すっきりと片付いた室内とセンスの良いインテリアに、Yさんのお人柄がしのばれます。若い頃に、脊髄カリエスという病気になりその既往症を抱えながら、2年前には、第2腰椎圧迫骨折で入院もされました。「身体は言うことを聞かなくても、心は元気でいたいの!」というYさん。若々しい笑顔の秘密は、生き方の中にありました。
脊髄カリエスが奪った時間
「私、若い方と話すのが大好きなの。気が合って楽しいの!」とYさん。失礼ながら、Yさんご自身も、とても83歳には見えない若々しさです。大学時代に脊髄カリエスになり、10年間の療養生活を経験しました。
「あの時期があったから、どんな困難にも立ち向かっていける度胸が付きました。既成概念にとらわれない物の味方ができるようにも。ずっとマイナスと思っていたけれども、私を生かしてくれたのは、あの10年なのだとようやく気がついたんです」。
腰椎骨折から2年が過ぎ、少しずつ身体が動くようになってきました。しかし、今でも、膝には力が入らず、転倒をおそれながらのゆっくりとした歩行です。
「みんなつらいことを乗り越えて生きているんです。だから、身体が言うことを聞かないからと気を落とさないで、心は最後まで元気でありたいって思っています」。
美味しい物を食べて、今日もいい一日だったと思える暮らしがいいですね/Y
ありのままに
ヘルパーさんが買い物や食事作りを手伝ってくれますが、「歩けなくなると困るから」と、週2回は近くのスーパーマーケットまで行って、好きな物を買ってきて料理をし、洗い物もします。
ほかにも、洗濯やゴミ出しなど、日常生活の中に、少しずつ体力作りを取り入るのが、Yさん流のリハビリです。
「止めたら止まってしまうから、大変でも続けたいと思います。美味しい物を食べて、今日もいい一日だったと思える暮らしがいいですね」。
40年以上趣味として続けてきた書道は今は休憩中とか。
「だから人が書いた書を観るのが今の愉しみです」とニッコリ。無理もしないけれども、あきらめることもしない。あるがままの人生をサラリと生きています。