今月の特集
2012年11月1日<39号(2012年11月)>
軌跡の後に、今、命輝いて
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ昭島院 平山恵輔
- レポート/中央在宅マッサージ相談員 小林直子

国分寺市にお住まいのY.Mさん(76歳)。平成10年6月に脳幹出血で倒れ、一時は心拍停止に至りました。しかし、軌跡のごとく一命を取り留め、1日でICUから普通病棟へ。その後、左半身にマヒは残ったものの1年ほどで退院し、今はリハビリとマッサージを続けながら、趣味も満喫し、奥さまのMさんとともに穏やかな時間を過ごしています。
重なりあった幸運

コンビニエンスストアーの経営者だったMさん。倒れた日には会議が予定されていました。
「遅刻なんかしない人が来ないので、会社から家に電話があったんです。次男がそれを受けて、2階の部屋を行ったら倒れていました」と奥さまのMさんはそのときのことを振り返ります。すでにそこからMさんの幸運は始まっていました。
「私はそのとき外出していたんです。で、次男は、救急病棟で働く医師の兄に電話しました。いつもは電話しても1週間返事を寄こさない長男なんですが、そのときはなぜかすぐに出て、『動かさないで、すぐに救急車を呼ぶように!』という指示をしたんです」。
搬送された病院が脳外科で有名でした。担当医師がご長男の親友というのも後で知りました。しかし、その夜が山場と宣告されてしまいます。
「それが、翌朝、行くと急に容態が良くなったということで、ICUから普通病棟に移されていました」。
マッサージを始めて、今まで以上に歩きたくなりました。/M

縁があっての・・・

「不思議体験の連続でしたよ」と今度はMさんが語ってくださいました。
入院中に気がついたら、天井の隅から自分の倒れている姿を眺めていたこと。退院後、旅行で初めて行った場所なのに、そこは倒れたときに見た風景だったりと…。
病院もリハビリも、そして在宅マッサージも、たくさんの縁と偶然が繋がって今があります。
在宅マッサージは最初、奥様の骨折がきっかけで友人に紹介されて始まり、しばらくしてMさんもマッサージを受けることになりました。今では夫婦そろってマッサージを楽しみにしています。
デイサービスのカラオケでは、「『いつCD出すんですか?』とか聞かれちゃうんですよ!」。
再び与えられた命を今、精一杯輝かせています。