今月の特集
2013年3月1日<43号(2013年3月)>
人生はいつだって一歩ずつ。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 飯能院 篠塚多美子
- レポート/中央在宅マッサージ 相談員 志村千秋
きものの着付け教室を主催し、編み物やパッチワークが大好きで、いつもたくさんの仲間に囲まれて、元気いっぱいだったS.Yさん(71歳)。しかし、突然の脳出血と左半身に残った麻痺が、人生を一変させました。精神的にも落ち込んだとき彼女を救った言葉は「千歩も一歩から」。優しい笑顔の中に真の強さを秘めています。
まさかまさかの病気に
「今日は、ちょっとお化粧をしたのよ」とYさん。両手の爪にはかわいいお花のネイルアート、頭にはピンク色のギンガムチェックのスカーフ、同系色のカットソーで決めて撮影にしっかりと備えました。「おしゃれは大好き」と笑う朗らかな表情は、71歳という実年齢よりも何十歳も若々しく見えます。
病気になる前は、着付け教室を主催し、趣味で編み物、ハワイアンキルト、貼り絵、トールペイント、さらには山登りをするなど、活動的な毎日でした。
「まさかまさか、こんなふうになるなんて思っていませんでした。ほかの人が風邪を引いても、私だけいつも元気だったの。健康診断も定期的に受けていたから、よけいに悔しいんです」。
気持ちがふさがってどうしようもない時期に、ふと出てきた言葉が『千歩も一歩から』でした。/Y
あるがままに
左半身に麻痺が残り、今まで当たり前にできていたことが突然できなくなりました。
「気持ちがふさがってどうしようもない時期がありました。そんな時に、ふと出てきた言葉が『千歩も一歩から』。半紙に墨で書いたら、すっきりしました」。
編み物も1目から始めたように、何かを始めるときは、元気なときだって、いつも1歩ずつだったことを思い出したのです。
今は、デイサービスで習う書道とアメリカに住むお孫さんとパソコンで会話するのが何より楽しみです。
「書道は小学校以来。ようやく3年生ぐらいのレベルにきたかした?」と笑います。
横山さんはご自身の左手に名前を付けています。そして、「おやつの時間だから出てきなさい」と、赤ちゃんのように話しかけていると言います。
人生の試練と素直に対峙し、あるがままに生きていこうとする心の強さが、そこにはあります。