今月の特集
2013年4月1日<44号(2013年4月)>
桜の花が咲いたなら。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ所沢院 佐野高志
- レポート/中央在宅マッサージ 相談員 間 明日香
O.Sさんは現在59歳。平成17年に難病の「多系統萎縮症」を発症し、以降、進行していく病と闘っています。
現在は、週2介の理学療法士によるリハビリと在宅マッサージに取り組みながら、身体の機能の維持に努めるOさん。その隣には、常に奥さまが寄り添い、支えています。
難病を乗り越えて
「どこが痛い?気持ち悪い?早い?あぁ指が痛いのね」。胃瘻をされるときに、奥さまが掛ける言葉から、気遣いと愛情の深さが伝わってきます。
発症から2年後にはベッドでの生活が主になりました。
「少し前までは、話しもよくできたのですが、最近は、少なくなってきています。身体も思うように動かなくなってきました」。
それでも、「パパ、写真撮っているから、もっと上を向いて、笑って!」と、奥さまが声を掛けると、Oさんはニッコリと素敵な笑顔を見せてくれます。ご夫婦ならではのコミュニケーションは、難病さえも乗り越えて、しっかりと息づいています。
毎日笑顔でいられれば、難病だって乗り越えられる。/O
桜の花が咲いたなら
Oさんのお父さまは著名な書道家で、お弟子さんたちが常に家を出入りしていました。そんな環境で育ったものの、Oさんは、書道家にはならずに、事業を興し、ビジネスマンとして活躍していました。
「温厚で、裏表がないところは父親譲りでした。女性に甘いところもね」と、お二人が出会ったころを振り返る奥さまの話を、Oさんも楽しそうに聞いてらっしゃいます。
昨年は、春に桜を見に出かけ、その後は入院のときに外出しただけと言います。
「今年も春になったら、また桜を見に出かけようね」と二人で話しをしているとか。この記事が出来上がるころには、町のあちらこちらが、桜の花でピンク色に染められて、その下にいるご夫妻の姿を見ることができるのでしょう。
最後にOさんは、ご自身の言葉で、ゆっくりと力強く私たちに言ってくださいました。
「きょ・う・は・あ・り・が・と・う」。