今月の特集
2013年7月18日<47号(2013年7月)>
努力と感謝をいつも心に。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 長野院 工藤 明
- レポート /中央在宅マッサージ 宗岡 尚美・南 三枝子
S・Kさん(75歳)は、平成12年にりんご畑ではしごから転落し、頚髄不全損傷で四肢麻痺となりました。入院中からリハビリをスタートし、現在も寝たきりにはなりたくないと、体を動かす努力を続けています。梅雨の晴れ間の心地よい風が吹く日、北信州・中野市にお住まいのSさんを訪ねました。
立てたぞーっ
Sさんは、朝昼晩のスクワットを300回、12年前に退院したその日から毎日欠かさずに行っています。
「退院するときに先生と約束したんです。数よりも毎日やることが大事といわれました。」
りんごの木を剪定しようと、7段のはしごから落ちて、意識不明の重体に。
手術は成功したものの、「将来立って歩くことはできない」と告げられ、一時は絶望の淵に追い込まれました。しかし、気持ちを奮い立たせて、厳しいリハビリをスタート。
「7カ月目にリハビリの先生に立ってみなさいと言われ、立ってみたら立てたんです。『立てたぞーっ!』って叫んだら、周りにいた方たちみんなが拍手をしてくれました」。絶望の淵から希望の道筋が垣間見えた瞬間でした。
「その時、こんなに大勢の人ががんばれ!と言ってくれているのだから、家族や妻のためにもがんばろうと思ったんです」。
人は感謝することと努力することを忘れてはいけないことに、気づかされました。/S・Kさん
夢と希望を持って
楽しみは二人のお孫さんに会うことと宝くじを当てること。
「宝くじを当てたら、家を3階建てにし、2階をカラオケルームにして近所の方と楽しみたいと思っているんです」とニッコリ。
「明日があるかぎり、人は夢を見続けないとダメなんですよ」と言います。
Sさんは、朝起きると、観音様のほうに向かって、家族の健康と幸せを祈り、1日の終わりにはまた、家族が健康で幸せに過ごせてありがとうございますと、感謝します。「体が不自由になって、何よりも、人は感謝することと努力することを忘れてはいけないことに気づかされました」。
12年前に垣間見えた、希望の道筋が、確かな夢となり希望となって、今、一歩ずつ前に向かって歩んでいます。