今月の特集
2013年10月18日<50号(2013年10月)>
「おはよう」から始まる1日を大事に精一杯
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 座間院 畑井 祐子
- レポート /中央在宅マッサージ 相談員 今成 光子
K・Fさん(41歳)は、生まれてすぐに髄膜炎の炎症が原因で水頭症に。手術で命は助かったものの、てんかん・精神発達遅滞などの後遺症が残りました。マッサージの施術が終わる度に、毎回、「ありがとうございました!」と元気にお礼を言ってくださるKさん。その笑顔の中には、40年を超える年月をたくましく生きてきた強さとやさしさがあります。
病気とともに
「生まれてすぐは、元気だったんです」。
40年前を振り返ってお母さまのHさんは語ります。産院から退院して3日目ぐらいから高熱が続き、精密検査を受けたところ髄膜炎と診断。後遺症で水頭症になり、生後3カ月から頭に管を入れる手術を何回もくり返しました。
「成長する過程で、脳にたくさんの刺激を与えることが大事と先生に言われ、真冬に温かくして散歩に行ったり、子どもがいっばいいる公園で遊ばせたりしました」。
良いお医者さまと出会えたこと、お母さまの必死の育児と、それに応えるように、笑顔でがんばってきたご本人の努力が良い方向にいき、Kさんは、日常生活のことは、一人で何でもできる元気な青年になっていったのです。
いつも心の中で唱えるんです。急いではいけない、でも、あきらめないって。/Fさん
ゼロからの再出発
27歳までは自転車に乗って出かけたり、ボーリングをすることもできたというKさんですが、その後、体に異変があり、再び管を入れ替える手術をすることに。
「つらかったのは本人です。泣いていました。突然、歩くことも話しをすることもできなくなって、振り出しに戻ってしまったのですから……」
Kさんは、物心ついたときから、自らの運命と闘い、今も必死に闘い続けているのです。しかし、マッサージの後は、必ず「ありがとうございました!」という笑顔の一言で、私たちが逆に癒されます。
お母さまは言います。
「いつも心の中で唱えるんです。急いではいけない、でも、あきらめてはいけないって」。
Kさんの中にも、お母さまから受け継いだ、強さと優しさが宿っています。