月刊てあて「特集」

今月の特集

2014年7月14日<59号(2014年7月)>

明るく、楽しく、前向きに

  • 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 昭島院 藤崎 暁子
  • レポート    /中央在宅マッサージ 宗岡 尚美
明るく、楽しく、前向きに
週1回のマッサージは二人にとって楽しいひとときです。「Kさんの笑顔や、やさしさには、私の方が癒されています」と、担当マッサージ師の藤崎暁子。

手が震えるという兆候が現れたのは昭和62年、Kさん28歳の頃でした。辛さを訴えても病名が分からず、『脊髄小脳変性症』と診断されたのは発症から12年後だったといいます。徐々に進行していく病を受け入れながら、日々明るく過ごしているその前向きな姿に真の強さを感じます。

病名が判明して

病名が判明して
「来年はつるをもっと伸ばして、こんなふうに誘引してみようとか、考えていると楽しくなります」。バラからたくさんのエネルギーをもらっています。

昭和62年頃といえば、丁度二人目のお子さんが生まれ、子育て真っ最中、また同居していた義母の介護とも重っていたとあって、精神的なものだろうという医師の診断を疑わず、そのうち良くなるだろう思っていました。
 けれど症状は改善することなく、ますます悪化するばかり。診断もつかぬまま、騙しだまし生活していましたが、それも限界に…。
 「これは精神的なものではない」と訴え、やっと大学病院の検査で、初めて病名が告げられました。
 「この辛さは何だろうと思っていた時期があまりにも長かったので、こうゆう病気だと分かった時は胸のつかえが取れました」。
 病名は後に、症状が酷似している難病の『オリーブ橋小脳委縮症』と修正されましたが、進行が止まることはありません。

「最近は、手の震えが強くなり、箸も持てなくなった為、食事も夫に食べさせてもらっています」。

「最近は、手の震えが強くなり、箸も持てなくなった為、食事も夫に食べさせてもらっています」。
ご自宅には2匹の愛犬がいます。ママ(Kさん)が大好きな甘えん坊のチョコちゃんと元気いっぱいのプリンちゃん。2匹とも大切な家族です。

通院は、82歳になるお母さまに付き添ってもらっています。
 「母とは、おしゃべりが止まらなくて、通院中は母の話し相手をして、逆に親孝行していると思っているんです」と笑って話すKさん。明るい性格はお母さまゆずりなのかもしれません。

バラを育てる楽しみ

バラを育てる楽しみ
手の震えが全身の凝りにつながり頭痛にも悩まされています。「マッサージをすると血の巡りが良くなるような気がします。終わったあとは身体がポカポカして、よく眠れます」。

私ね、あまり病気のことは考えないようにしているの、以前は友人や息子と旅行に行ったし、最近はバラにハマってしまって(笑)気が付いたら1年で30種類のバラを育てています」。
 「昨年、肝臓を悪くして入院していたときは本当に具合が悪くて、ケアマネさんも心配するほどでしたが、今はマッサージの間、笑いが絶えないほど元気になりました。気の合う藤崎さんとの週一回のマッサージは、私の心と身体の支えです」とKさん。
 「まだ上手に育てられないんですが…」と、はにかみながらも見せて下さった庭は、初夏の光の中で、いっせいに咲いた美しいバラたちであふれ、満面の笑顔のKさんの美しさをより一層輝かせていました。