今月の特集
2015年4月30日<69号(2015年5月)>
妻のため1日でも長く生きること
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 町田院 野口 弘樹
- レポート /中央在宅マッサージ 小林 直子
今回ご登場するのは、K・Uさん(76歳)と奥様のSさん。Sさんとは1歳違いで偶然にも同じ誕生日です。戦後の貧しい時代に出会い、人生の苦楽をともに乗り越えながら、幸せをコツコツと積み重ねてきました。体が辛くても痛くても、手を取り合って、楽しく日々を過ごしている姿に夫婦の理想の姿があります。
縁で結ばれて
お二人の出会いは20代。Kさんが、生まれ故郷の四国徳島を離れ、山口県で仕事をしていた頃に、行きつけのお寿司屋さんで働くSさんに出会いました。
「何度も会っているうちに、この人と一緒になれば幸せになれるかと思い、子供も丈夫で賢い子を産んでくれるかも…。そんな予感がしました」と、当時のことを照れくさそうに話すKさん。
結婚したお二人は、男の子と女の子の二人のお子さんに恵まれ、Kさんの予感通り、二人とも成績優秀で大学まで進み、一人はイギリスの大学院を卒業しました。
Sさんと築きあげた大切な家族を守るために、山から物資を採掘する仕事をしてきたKさんの体は、ご本人いわく「骨がぼろぼろ」の状態。50kgの体で毎日4貫(1貫=3.75kg)の物を運ぶ仕事をしていたからといいます。
「私もこの人も意欲はあるの。絶対あきらめないの」。/Uさん
あきらめないこと
「立てるようになれたらすごくうれしのですが」と、Kさんがつぶやくと、すかさず「お父さん次第よ」とSさん。
在宅マッサージを始めたのは、お二人の「あきらめたくない」という強い意思があるからです。
「私もこの人も意欲はあるの。絶対あきらめないの」。
Sさんのその言葉に、お二人が常に手を取り合って、さまざまな困難を乗り越えてきた人生の軌跡が垣間見えます。
そして、いつも明るいKさんの今の使命は
Sさんを寂しくさせないために、「Sちゃんより一日でも長く生きること」といいます。
不思議な縁で出会い、結ばれ、さまざまな縁があり生かされている…。お二人の会話や素晴らしい笑顔に、私たちは、たくさんの学ぶべきものがあります。