今月の特集
2015年7月30日<72号(2015年8月)>
人生は二人で紡ぐストーリー。
- 担当マッサージ師/中央在宅マッサージ 昭島院 沓掛 亜紀
- レポート /中央在宅マッサージ 相談員 宗岡 尚美
人生80年の中で、一人の人と出会い、家庭を作り、職人として、そして身体が思うように動かなくなった今も、伴侶とともに明るく生きているM・Mさん。そこには悲痛めいたことはひとつとしてなく、常に陽気な笑いに満ちた暮らしがあります。Mさんと夫のM男さんの愛の物語は、出会った頃と変わることなく大切に育まれています。
お隣同士という序章
どんな物語にも、読み手をひきつける序章があります。お二人にも運命的な出会いがありました。
「理髪の勉強していた頃、実家が引っ越したんです。その家の隣に若い女性が住んでいて、時折おばあさんの手を引いて芝居小屋に連れて行くのを見て、思いやりがあって素敵な人だなと思ったんです」と、正男さんは照れくさそうに当時を話します。
そして正男さんは、庭の掃除を毎日しながら、Mさんが出てくるのを待つようになりました。
その作戦が功を奏し、Mさんも正男さんを意識するようになりました。
「彼女は8人兄弟なんですが、唯一恋愛結婚をしたのは一人だけ。皆にあれこれ言われ反対されましたが、この人だけは信じてついて来てくれました」と、優しいまなざしでMさんを見つめます。
「ケンカもしたし泣いたことも。でもずっと心の仲良しです」。/Mさん
エンドレスストーリー
昭和44年。娘さんが小学校3年生の時、福島県浪江町から東京へ移り住み、47年7月11日にお店を開店。M男さんは理髪師、Mさんは美容師として店を経営しながら懸命に頑張ってきました。
あれからか十数年、かわいいお孫さんにも恵まれ、美容師以外にも日本舞踊や洋裁を教えたりと、充実した毎日を送っていたMさんが、脳梗塞で倒れたのは3年前のことです。
命に別状は無かったものの、左半身に麻痺が残りました。
退院後は、M男さんが仕事をしながら身の回りのことをこなします。
「実は、苦労を掛けてきたので今は、その時の10分の1でも返していこうかと…」と、笑う顔には何の衒いもありません。何があっても互いを想い合い、支え合う…。一緒にいることがいちばん自然なお二人なのでしょう。
二人のストーリーは、これからも熱く続いていきます。