月刊てあて「特集」

今月の特集

2016年9月29日<85号(2016年9月)>

まわりの支えが前向きな気持ちに

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 水戸院 植木 均
まわりの支えが前向きな気持ちに
マッサージは、退院後ケアマネージャーさんからの紹介ではじめました。「こうやって皆さんにマッサージをしてもらったり、リハビリをしたり、デイサービスに行ってお話を聞いたり、情報交換したりして、それが元気を貰っているんです」とMさん。担当マッサージ師、植木均と。

S・Mさん(70歳)は、5年前に転倒。意識が戻った時は病院のベッドの上でした。頸随損傷という重大な傷病を前に、体を動かすことも何も出来ず、ほぼ寝たきりの状態でした。そんな絶望の状態から、家族やまわりの人の支えもあって前向きな気持ちを取り戻すまでは、そんなに時間はかかりませんでした。持ち前のバイタリティで、闘病とリハビリに努め、Mさんは今しっかり前を見つめています。

みんなに支えられ

みんなに支えられ
何ごとも続けていく事は大切。先生との会話も、絵もリハビリも、マッサージもMさんの励みになっています。

Mさんの日常生活は、車椅子です。テレビやベッドのリモコン操作、スプーンでの食事などは自分で出来ますが、その他の動作はすべて介助が必要です。
現役時代、Mさんは『パナホーム』の営業マンとして、マイホームという夢を叶える関係の仕事に従事していました。
「今思うと、35年間働いてきて、本当に良かったなって感じています。家を建てる仕事は家族の幸せを作る大もとですから、夜遅くまでお客様の相談を受けたり……。とにかく車を運転することは大好きでしたからね」。
退職後は、車で奥様や親戚の人たちを乗せて、ほぼ日本全国をドライブ旅行したといいます。撮りためた沢山の写真は、絵のモチーフにもなっているほどです。

これ以上悪くならない、今の状態を維持できて行ければ…と思います。/Mさん

これ以上悪くならない、今の状態を維持できて行ければ…と思います。/Mさん
「頸随損傷の痛みとは一生の付き合いだから、皆さんの手を借りて維持していきたい。筋肉が強張ったところをマッサージで助けてもらっています」とMさん。

きっかけはリハビリ

きっかけはリハビリ
もとはリハビリで始めた絵です。色鉛筆で精緻に描かれている絵が見る人の心を惹きつけます。

絵を描くことが子供のころから好きだったMさん。リハビリの一環として、病院の先生にすすめられ、絵を描きはじめました。そして今では、ご自身の描かれた絵が毎月病院に展示されています。
「絵が展示されてるところに、投書箱のようなものがあって、先日、絵を見た人の感想で『退院したら私も絵を描いてみようと思います。勇気をもらいました』と書いてあったんです」。
続けてれば嬉しいこともありますねとMさんは言います。
入院していたとき病院の先生から、退院したら、毎日出来る限り意識的に体を動かすようにと言われ、その言いつけを今でもしっかりと守っています。
「デイサービスに行ったり、リハビリに行ったり…と、一週間では足りないんです」とMさん。
誠実で、誰からも信頼される人柄は、ご家族やまわりの人たちの支えもあって、一日、一日を、前向きに生きています。