今月の特集
2017年1月29日<90号(2017年 2月)>
心にいつも、明るい太陽を
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 所沢院 金光 美穂
- レポート /てあて在宅マッサージ 相談員 間 明日香 三好 美香
色白の肌にふわりとした水色の帽子がよくお似合いのK・Kさん(67歳)。後縦靱帯骨化症を患い、甲状腺や糖尿病、高血圧症などの持病に、乳癌術後胆石症なども重なり、自ら「病気の神様」と称されるほど様々な病気を抱えています。
現在は車椅子の生活で寝返りなどすべて介助が必要ですが、そんな境遇の中でも、常に明るい笑顔を絶やさないKさん。毎日がんばっている姿に心を打たれます。
焦らずゆっくりと
3年前、がんの手術後に転倒し立ち上がれなくなりました。がん治療は終わっているものの、骨が弱くなり、骨の注射も打ち続けています。また、がんの後遺症以外にもさまざまな持病を抱え、泣きたいほどの身体の痛みと何年も闘い続けています。
「私は病気の神様だから。こんなに病気を持っていいんだろうかというくらい持っているのよ」とKさん。
4年前にご主人を亡くし、今は母娘二人の生活です。
時には親子ゲンカをすることもあるけれど、母娘の絆は深く、毎日献身的に介護をしてくれる娘さんには感謝の思いでいっぱいです。
「娘のためにも歩けるように頑張らなければいけないのですが、焦らず、ゆっくりとマイペースで、慌てるのはやめようって思っています。どんなに慌てても病気は進んでしまうから」。
「焦らずゆっくりとマイペースで。どんなに慌てても、病気は進んでしまうのだから」。/K・Kさん
泣けない、泣かない
明るく元気なユーモアたっぷりのおしゃべりで人を楽しませるのが上手なKさんの周りには、いつも沢山の人が集ってきます。
「ご近所に住んでいるわけでもないのに、以前どこかで知り合った人が、おまんじゅうを持ってやって来るんです。一度、縁ができると切れずに不思議とずっと続いてしまうんです」。
ご自身が一番辛い立場だというのに誰にでも公平に心を開き、人を元気にしてしまう魔法のようなパワーがKさんにはあります。
「私、歩けないのに、口が先に歩いちゃうんですよ」と笑うKさん。誰かとおしゃべりをしたり、娘さんに買い物に連れて行ってもらったり、そんな一瞬一瞬が、Kさんにとっては辛い病気を忘れられる大切な時間なのです。
「大人だから泣けないし、泣いたって治らないしね」。
心の中の太陽が、いつも温かな笑顔をつくります。