今月の特集
2017年2月21日<91号(2017年3月)>
続けることが希望に繋がって
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 松戸院 吉野 哲史
- レポート /てあて在宅マッサージ 相談員 玉城 さや香

左側は奥様のYさん。 (担当マッサージ師吉野哲史と)
M・Kさん(73歳)が、脳内出血で倒れたのは2009年12月26日、ジムのプールで平泳ぎをしている時でした。当時は65歳、半年間の苦しいリハビリを重ねて病院を退院したものの、突然訪れた不自由な生活は、想像を絶するものだったということは容易に想像できます。現在もリハビリや在宅マッサージに励みながら、奥様とともに8年目を迎えた今も、希望を持ち続けて前進の日々を送っています。
心の支えとなった一言

若い頃は、フルマラソンにも数知れず参加し完走していたというKさんは、スポーツが大好きで、体力にも自信がありました。
「前日まで普通の生活をしていたのに、突然、体のどこも動かず、ベッドからも起きあがれない状態に、何もかもが絶望に変わりました」と、当時を振り返ってKさんは言います。
医師からは「寝たきりになるかも…」と宣告されました。

「マッサージは気持ちいいですね。体調も安定します」とKさん。
でも、後ろ向きにならずにこられたのは、奥様が常に寄り添ってくれたこと。そして、リハビリの先生が「歩いて帰れるようになりましょう!」と励ましてくれたことが、心の支えになったからでした。
「その一言があったから、ここまで頑張ってこれたのだと思います」と奥様。苦しい半年間のリハビリを一日も休むことなくこなし、車椅子で帰宅。その後もリハビリを続けたいという意思が強く、退院時のメニューや歩行訓練、身体機能の向上のため、訪問看護や在宅マッサージを続けてきました。
「大事なのは、不可能だって可能になるかもしれないという、希望を持ち続けること」。/ Kさん

続けることの大切さ

Kさんが病気になってから毎日欠かさずに続けていることがあります。それは、健側である左手で日記を書くことです。内容はほとんどがリハビリの記録。数字部分には、ピンク色のマーカーで線が引かれていて、日々の成果をご自身の中に刻みつけ、励みにされていることが伝わってきます。
病気になってから8年目。今では右側の可動域も広がって、服の着脱もスムーズにできるようになり、家族の介助を受けながら旅行にも行けるようになりました。
目標は「杖なしで歩くこと」。Kさんにとって、リハビリは、「諦めない、最後までやり遂げる」という、強い意志が必要なフルマラソンのようなものなのではないでしょうか。ゴールに向かって、一歩ずつ、今日もまた、ひたすら前を見て走り続けています。