月刊てあて「特集」

今月の特集

2017年4月29日<92号(2017年4月)>

縁に恵まれ、愛に恵まれて

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 浦和院 細田 清美
  • レポート    /てあて在宅マッサージ 相談員 荻原 あゆみ 中村 博子
縁に恵まれ、愛に恵まれて
「人の縁に恵まれてここまできました。家族にも感謝の気持ちでいっぱいです」とFさん。
傍でずっと寄り添って支えてくれた奥様のYさん。後方は担当マッサージ師 細田清美。

G・Fさん(71歳)が、不慮の事故で頚椎を損傷したのが平成 年5月。娘さんが暮らす九州を訪ねたときでした。体がまったく動かない状態で病院へ搬送。知らない土地での突然のアクシデントで、家族をはじめたくさんの人の絆に支えられて今があるといいます。事故から5年、右麻痺を抱えながらマッサージとリハビリに励む毎日ですが、試練を乗り越えながら第二の人生をたくましく笑顔で生きています。

人の縁に恵まれて

人の縁に恵まれて
九州に入院中は2日に1回は通い、世話をしてくれたと言う娘さんからの手紙。
この手紙を見れば、きついリハビリもがんばることができます。
上記は、励ましつづけてくれる家族の写真。

Fさんは、先代から受け継がれてきた地元に愛される写真館の主でありカメラマンでした。まだまだ現役でがんばっていたときに、アクシデントが起きました。
「九州に暮らす娘に会いに行き、そのあと近場の温泉へ旅行に行ったとき、誤ってロフトのようなところから転落してしまいました」。

そのまま九州の病院に入院。

そのまま九州の病院に入院。

頚椎を損傷し、まったく動けない状態となり、その後、地元埼玉に戻ることができたのは何と4カ月もあとのことになります。
「九州の病院では、『埼玉から来ている人』ということで有名になってしまいました。近くのリハビリ病院へ移るときは、病院の人たちから拍手で見送られたり、先生や看護師さんが何度も様子を見に来てくださったりして……」と、当時を振り返っていいます。

「死んでたまるか」という気持ちで、ただひたすら一生懸命やってきました。/Fさん

「死んでたまるか」という気持ちで、ただひたすら一生懸命やってきました。/Fさん
少し前までは下にあるものを拾おうとするとひっくり返ってしまったのですが、今では、それもクリアしたといいます。「マッサージ中は、先生との会話も和みます。施術後は体が楽になって少しずつ可動域も広がっていくのがわかるんです」とFさん。

優しさに支えられ

このまま九州に移り住むか、埼玉に戻るか、悩んだこともありました。入院したとき「このまま死んでたまるかという気持ちで、リハビリをただひたすら一生懸命にやってきました」とFさん。
退院後も不撓不屈の精神でデイサービスでも在宅でもリハビリを積極的にとり入れてきました。
目標は、孫や子供たち家族で温泉旅行に行くことです。
「実は、以前は温泉に行こうなんて思うタイプではなかったので、ケガの功名とでもいうのでしょうか」と笑います。
不慮の事故は、これまでの人生を一夜にして変えてしまうほどの辛く悲しい出来事でした。それでもFさんが、時には折れそうになる心を奮い立たせながら明るく笑顔で歩んでこれたのは、家族の愛やたくさんの人に恵まれて、勇気を与えてくれたからです。
不慮の事故による第二の人生が始まって5年目の、暖かい春が訪れようとしています。