今月の特集
2017年10月29日<98号(2017年10月)>
何度もがんばったから今がある
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 所沢院 濵田 大輔/平山 朋範
- レポート /てあて在宅マッサージ 相談員 間 明日香/三好 里佳
80代に入ってから3度もの胃がんの手術を乗り越えてきたK・Hさんは現在84歳。ご高齢での大病ゆえに克服したとはいえ、変形性膝関節症、腰椎椎間板症、頚肩腕症候群などの疾患を抱え、身体には重い負担がのしかかっています。
そんな辛い毎日のなかでも、いつも笑顔を絶やすことがないのは、お子さんやお孫さんをはじめとする、たくさんの人の愛に包まれているからです。
平穏を奪った病気
豊かな髪に端整なお顔立ち、そして上品で美しい笑顔……。
女性ならば誰でも、Hさんのように美しく歳を重ねていきたいと憧れます。
生まれは東京の恵比寿。結婚生活をスタートした場所は渋谷でした。子供の頃から都会生活を続けてきたHさんが、東京郊外に土地を買ってここ東村山へ移り住んだのは、お子さんが中学生と小学生の頃だったそうです。
「その頃はまだ、この辺りは畑ばかりで、道を歩けば靴は泥まみれになっていました」と懐かしそうに振り返ります。
新しい土地で、育児に励み、家族のために懸命に生きてきました。お子さんたちも大人になり、家庭を持ち、今ではかわいいお孫さんたちもいます。そんなHさんの平穏な日常を奪ったのは胃癌という病気でした。
「私はまだ生きられるんだと思うと、いっそうがんばれるんです」/K・Hさん
たび重なる手術
80歳からなんと3回も手術をすることになったHさん。そして3回目の手術も無事に克服したものの、昨年は、家の中で転倒し骨折。一時は寝たきりになってしまいました。
現在は、手術のため中断していたマッサージも再開するまでに回復。そして懸命なリハビリの甲斐もあって、室内の移動もできるまでになりました。
「家の中を動けるようになるとうれしくなって『生きる欲』が出てくるんですね。私はまだ生きられるんだと思うと、いっそうがんばれるんです」とHさん。
同居されている息子さんは「お母さんの面倒は最後まで僕が見る」と言ってくれたと言います。娘さんも近くに暮らしています。
「私一人では何もできないです。たくさんの人にお世話になって今があるのです」。
強い意志と、周りへの深い思いやりが、Hさんの穏やかな笑顔を作り上げています。