月刊てあて「特集」

今月の特集

2018年8月28日<108号(2018年8月)>

絵手紙を介して、目に見えない糸で読者の方々と繋がって…

  • 島崎昌美
  • レポート /編集部

茨城県の南西部、北に筑波山を望み、かつては見渡す限りの桑畑だったという田園地帯が広がる……そんな閑静な住宅地に島崎さんのご自宅兼アトリエがあります。
「月刊てあて」の表紙を描き始めて9年。絵手紙がどのようにして生まれ、描かれているのか……その原点をお届けします。

島崎さんと私たちの出会い

島崎さんと私たちの出会い
「絵手紙は、紙からはみ出るように大きくダイナミックに描くのがポイントです」。現在も個展や絵手紙教室を行い、意欲的に活動されています。

「月刊てあて」は8月で創刊9周年を迎えます。島崎さんとの出会いは、地元のローカル新聞に掲載されていた絵手紙の連載でした。当時、ご自身が経験されたお母様の介護の日々を温かくユニークな言葉で表現した絵手紙に惹きつけられ、「月刊てあて」を通して多くの方にも届けたい…という思いから始まりました。初めて私たちがご自宅にお伺いした際のことを、「表紙絵を依頼されて、子供のように嬉しくて心弾みました」と島崎さんは振り返っています。

生命の生きる強さを表現した絵手紙

アトリエの机の片隅に、庭で採れた野菜や花を並べ、モチーフにして絵手紙を描いています。収穫から何日も経過した野菜は、一見実のしぼんでしまった野菜にも見えますが、水などをあげなくても、そこから芽や枝がまた伸び続けています。それを手に取り「じっと見ていると、語りかけてくれるんです」と島崎さんは言います。
生命の生きる強さを感じ取り、その思いをご自身の言葉に置き換え、絵手紙に表現されているんだと思いました。

「庭から感じ取る四季の移ろい……花が咲き、野菜が実り、育み、天地の恵みに感謝します」

「庭から感じ取る四季の移ろい……花が咲き、野菜が実り、育み、天地の恵みに感謝します」
庭の菜園では、なす・キュウリ・じゃがいも・シソ・サラダ菜など季節の野菜が実っていました。

心を豊かにしてくれる庭

島崎さんの絵手紙の原点が詰まったお庭は、季節の草花にあふれ、色とりどりの野菜が実り、やさしい土の香りに包まれています。 庭の畑に溜まる野菜屑や、台所から出る生ゴミも、堆肥として土づくりに生かすことで『生命の循環』を実感したという島崎さん。四季折々、毎日違う表情を見せて楽しませてくれるお庭の草花や野菜からは、逞しく生きるとても大きなパワーを感じました。

幾つもの出会いに感謝

月刊てあては、発行部数七千部。絵手紙のファンも全国に広がっています。ファンの方から届くお便りには、現在も絵手紙でお返事を書かれていると聞きます。島崎さんは「月刊てあて」を通して、目に見えない糸で繋がれた多くの方々との出会い、その『縁』ともいえる絆をとても大切にしています。そして「自分のやってきたことは決して無駄ではなかった『絵手紙の力』を強く感じ、多くの出会いに感謝しています」と。
今回の取材では、次期出版についてのお話もありました。私たち「てあて編集部」は、これからも、精一杯サポートしていきたいと思います。いつも心温かく迎えてくださる島崎さん、どうも、ありがとうございました。