今月の特集
2019年5月26日<117号(2019年5月)>
やさしさの恩返し
- てあて在宅マッサージ
穏やかな優しい笑顔のKさん69歳。脳梗塞、その後、脳出血で入院したのは62歳の夏。倒れるにはまだあまりにも早い年齢でした。手術で一命をとりとめたものの、左半身に麻痺が残り、退院後は奥様と二人三脚で自宅療養とリハビリの日々を送っています。
辛い時を乗り越えてきたご夫妻の笑顔には、人の心を惹きつける強い力があります。
脳梗塞から脳出血に
庭師の手入れが行き届いた広いお庭のある一軒家が、Kさんのお住まいです。玄関の扉を開けると、愛犬の「なな」が元気にしっぽを振って迎えてくれます。 いつも愛くるしい目で主に寄り添い、大変なリハビリの日々に、ほんのりと癒しを与えてくれています。 Kさんが脳出血で倒れたのが7年前の夏。奥様の運転で東京に向かっている時でした。会話がおかしくなりそのまま病院へ。その後、意識がなくなってしまいましたが、脳梗塞の薬を飲んでいたため、出血がなかなか止まらず。薬が切れるまで一週間待って再手術をしました。 1カ月の入院ののち、リハビリ病院で4カ月過ごして退院。その後は、訪問リハビリ・看護・入浴、担当医師の往診、口腔ケア医療、在宅マッサージと、利用できるものはすべて利用しながら在宅での暮らしを続けています。 現在は、マッサージと並行して運動にも積極的に取り組みます。「今までは痛みを感じていなかったのが、次第に痛いって感じられるようになってきました」と奥様。
「倒れても、くじけても、少しずつ笑顔で前進」。
目標は夫婦で一泊旅行
Kさんの在宅介護の柱になっているのが奥様です。日常生活の介助もオムツ交換も、1から学びながらやってきました。 「夫は、病気になる前は本当に優しい人だったんです。だから、今は恩返しという感じですね。大変と思うと大変になってしまうので、これもお仕事と思っています」と奥様はいつも笑顔が絶えません。 そんな奥様のがんばりに応えるように、Kさんの体も少しずつ良い方向に向かっています。まだ歩行はできないものの年に1回、知人の同行のもと、東京の浅草に行く楽しみもあります。 現在の目標は、体力維持と奥様と二人で一泊旅行すること。まだまだ先の長い人生を、夫婦二人三脚で、あきらめることなくしっかり歩いています。