今月の特集
2019年11月13日<123号(2019年11月)>
自由に歩けるその日を夢みて
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ相模原 西村歩史
- レポート/てあて在宅マッサージ相模原 相談員 今成光子
T.Sさん77歳。20年前に心臓のバイパス手術を受け、その後、合併症により動脈硬化性下肢動脈閉塞症を発症するなど、さまざまな病気に襲われ、70歳をすぎてからは急に体の自由がきかなくなってきたといいます。現在では体が辛くても、また自由に歩くことを目標に、奥様とともに明るく逞しく生きています。
歩かないと歩けなくなる

「ここ2〜3年で、体力が急に落ちてきてしまったんですよ」とSさん。車の免許も返上したので、歩くことができないとどこにも行けません。 「手押し車につかまりながら、せいぜい100メートルくらいがやっと。散歩行ってくるなんて言って、家の周りをぐるっと歩くだけなのに、1時間くらいかかってしまうんです」。 歩くと痛い、歩かないと全く歩けなくなってしまう…。そんなジレンマを抱えています。 在宅マッサージでは、体をほぐすことで歩行による足の痛みが和らぎ、悪くなった血液の循環を良くする助けになっています。 「マッサージは、体が楽になって気持ちいいですね」と笑みを浮かべます。
「もう一度、自分の足で歩いてみたいな」/T.S

今日よりも明日
Sさんは、東京生まれ、福島育ち。15歳の時に神奈川県に来ました。座間市の農協で定年まで働きながら、奥様の実家の畑を借りて趣味で季節ごとの野菜づくりを楽しんでいました。 しかし、20年前に狭心症を患い、心臓のバイパス手術を行いました。術後の回復が遅れ、1カ月の予定が、4カ月もの入院生活に。「周りがどんどん良くなって退院していくのに、なんで私だけが…と、悔しかったですね」。 退院後、調子の良いときは、奥様と一緒に畑に出られるまでに回復したものの、8年前に右鼠頸部に静脈瘤ができ、二度目の大きな手術を経験しました。 度重なる病と闘いながらも、前を向くSさんの今の目標は、自分の足で歩くこと。そして、ふたたび奥様と一緒に、畑に出ることといいます。 一歩前進しては一歩後退を繰り返す日々ですが、明日を信じることを決して諦めません。