今月の特集
2019年12月29日<124号(2019年12月)>
健康維持も、画家の努め
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 福島宝槻 輝
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員佐藤浩子
緑に囲まれ、自然豊かな福島県伊達市にある老人ホームで暮らしているH.Kさん(77歳)。幼い頃に急性灰白髄炎(小児麻痺)を患い、歩行はできたものの後遺症で足の不自由な生活になり、50歳を過ぎた頃から次第に歩行が困難になりました。しかし、そんな運命に負けることなく、画家として自身の才能を開花させました。現在も車椅子で生活しながら、生涯現役で創作活動を続けています。
会話で心もマッサージ
Kさんが「てあて」の在宅マッサージを始めてちょうど1年になろうとしています。10年以上前からマッサージはされていたそうですが、私たちの在宅マッサージをとても気に入って頂いています。
「歳とともに身体は弱っていく一方で、何もしないでいると大変なことになると思いましてね」とKさん。長年の車椅子生活による下半身の痺れや浮腫に加え、加齢とともに変形性脊椎症による痛みに悩まされてきました。
「マッサージは身体が楽になりますね。手足を揉んでもらうとけっこう痛みも緩和されて、好きな絵を描き続けられています」。
マッサージの間、Kさんとの会話は弾みます。「実はマッサージは会話が肝心と思っていまして。身体と一緒に心もほぐしてもらっているんです」。
「身体と一緒に、心もほぐしてもらっています」/H.K
生涯現役
「小さい時から、将来は画家になると決めていた」というKさんですが、画家になるまでには、長い年月を必要としました。
ブリキ職人の家庭に生まれ、中学卒業と同時に福島市にある文化人形研究所に就職し、こけしの顔を描く仕事につきます。その後、絵一筋でと一念発起。勤めていた会社を退職し紆余曲折を経て、自営業を営みながら、絵を描き続けてきました。
Kさんの部屋のデスクには、所狭しと画材や描きかけの絵が置かれています。「77歳になる今もこうして現役を続けられているのは、脳がクリアで健康を維持できているからです」とにっこり。
来年は個展を開催するため、作品作りに邁進中です。画家としての天分をまっとうしながら身体の不自由さを感じさせず、人生を力強く生き抜こうとするKさんの姿は、情熱であふれています。