月刊てあて「特集」

今月の特集

2020年3月13日<127号(2020年3月)>

たくさんの人との出会いがあって今がある

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ 所沢 安藤 努 佐野 貴志
  • レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 間 明日香

本誌2回目の登場となるEさん(71歳)。13年前に脳梗塞で倒れたEさんを支え続けて来たのは、奥様のFさんであり、たくさんの友人、知人たちとの出会いでした。右半身麻痺、運動失調などの後遺症を抱えながらも、笑顔が絶えない穏やかな日々が続いています。

努力と継続が実を結んで

努力と継続が実を結んで
立っている時に、話すなどの2つの動作を行うのはまだ難しいというEさん。しかし、昨日より今日と、少しずつ前進しています。在宅マッサージを終えて、奥様、お孫さん、担当マッサージ師の安藤努、佐野貴志と。

脳梗塞で倒れた時、「もう体を動かすことも、しゃべることも、一緒に食事をすることもできないかもしれない」と医者から宣告されたというEさん。
 しかし、「きっと回復する」という奥様の強い願いに応えるように、Eさんはリハビリを続け、前回の取材当時は室内や庭を毎日約30分、杖で歩行する練習を行っていました。それは、9年経った今も変わらず継続しています。
 2009年から在宅マッサージを始め、現在では話す、体を動かす、食事をするなど、すべての動作はゆっくりですが、以前よりも一人でできることが多くなってきています。そして、2011年にはご長男の結婚式に出席するためにアメリカへの帰郷も叶えることができました。日々の努力を続けてきたからこそ、脳梗塞を発症した当初からは想像もできなかったことが実現しています。
「たくさんの友人たちが支えてくれて、素晴らしい医者に出会えて、そしていつも神様がそばにいてくださったからです」。
「どんな困難に直面しても、信仰と希望と愛を信じる」というご夫妻の強い思いは、今なお揺るぎないものとなっています。

「いつだって、ひとりではありません」/E

「いつだって、ひとりではありません」/E
週2回の在宅マッサージでは全身の筋肉をほぐしながら、立位バランスなどの運動療法も取り入れています。またマッサージ師と施術中の会話も楽しみのひとつになっています。

誰もが友達になる家

取材の日、アメリカからご長男家族が3人のお孫さんを連れて来日していました。クリスマスを一緒に過ごすためです。
「夕べは、家族でささやかなクリスマスパーティーをしました。七面鳥はみんなあまり好きではないから、プルコギを作りました」と奥様。
 部屋にはクリスマスツリー、イルミネーションやリースなどが飾られ、家族水入らずで聖夜を過ごした幸せの余韻が漂っています。
 Eさんご夫妻は、奥様の定年退職を機にアメリカへの帰国を決めました。飛行機に乗れるうちに帰りたいというEさんの願いもあったからです。
 帰国後も、「毎日の歩行練習は欠かさずに行う」と目標を掲げているEさん。奥様とともに、訪れた人の誰もが友達になれる心温まる家庭を築き、次の人生のステージを力強く歩み続けていくことでしょう。