今月の特集
2020年5月1日<129号(2020年5月)>
お日様パワーの100歳
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ飯能 高橋伸子
- レポート/てあて在宅マッサージ 相談員 志村千秋・秋葉紀子
埼玉県狭山市の特別養護老人ホームで暮らしているT.Mさんは、大正9年3月29日生まれ。今年100歳になったばかりです。18歳で結婚。4人の子を育て上げ、現在ひ孫が12人という、大きな家族を築いてきました。「M家のみんなが今日も幸せであるように、そして、また自分の足で歩けるようになるように」と、お日様に向かって、毎朝、願っています。
自分で歩けるように
「テーブルでは、100歳は私一人だけなの。他はみんな若い80代、90代。若い人の仲間に入れてもらって、歌を歌ったりしています」。長寿時代の中で、Tさんは今年3月に無事にお誕生日を迎え、先陣を切って100歳となりました。
2年半前にトイレで転んで右肘関節、右大腿骨を骨折し入院。それをきっかけに特別養護老人ホームへ入居し車椅子生活となりましたが、身の回りのことは自分でこなそうと努力しています。
「歩けないのは辛いです。でも、車椅子なんて重宝なものがあるので、なんとか自分でこいで、お茶を飲むところや、おやつを食べるところは行けます」と言います。
歩ける日を信じ、週3回の在宅マッサージを欠かさず受けているTさん。現在、立つのにも支えが必要ですが、毎日歩行練習も続けています。その活力は、大正、昭和と激動の時代を、女性として母として生き抜いてきた中で培われてきたのでしょうか。
「100歳なんて思えない。気持ちは90歳です」。/T.M
お日様の力を味方に
Tさんには、毎朝晴れた日に行う日課があります。それはお日様に向かって「M家がみんな幸せでありますように。どうか歩けるようになりますように」と大きな声を出して祈ることです。帰りはお日様の光を背中にいっぱい浴びて、パワーをチャージするのがTさんの元気の秘訣でもあります。昨年、施設で行われた敬老のお祝いの席では、みんなの前で、「T.Mです。100歳になります。T.M万歳!」と挨拶し、大喝采を浴びました。「だって、何も言うことがなかったので、ついね」と、その日のことを思い出し照れて笑います。「でもね、本当は100歳なんて思っていなくて、気持ちは90歳なんです」。
お日様のような笑顔の中に、果敢に人生を生きる勇気と強さ、そして、家族や人を思う大きな愛があふれていました。