今月の特集
2020年7月2日<131号(2020年7月)>
笑顔の花をいっぱい咲かせて
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ水戸 藤田正樹
- レポート/てあて在宅マッサージ水戸 相談員 井上純子
T.Gさん87歳は、25歳のときに結婚。嫁として妻として母として、農家の働き手の一人として、笑顔を絶やさずに懸命に、人生を歩んできました。そんなTさんが脳梗塞で倒れたのは、「そろそろ夫婦で仲良く旅行でもしながらのんびりとした老後を」と思っていた矢先でした。病を受け入れ、愛する家族に見守られ、前向きに明るい方向をみて過ごしています。
生死をさまよって
Tさんが倒れたのは、19年前の4月29日。畑ではじゃがいもの葉がすくすく成長していて、田んぼでは田植えが始まる、農家にとっては一番忙しい時期でした。
あとで思えば2、3日前に目の前が真っ暗になるなどの兆候があったと言います。「1年前には病院でMRI検査もしていて異常ないと言われていました。でも、過信してはいけなかったのですね」。
すぐに病院に到着したものの、意識はまったくなく、生死のふちをさまよう時間が続きました。114日間の入院の後に退院。しかし、歩く、喋るといった身体機能の多くを失いました。
施設で介護という手段もありましたが、69歳という若さもあり、自宅に戻って家族で介護をしながら少しでも機能を回復させていく道を選んだのです。
ケアマネジャーの紹介で在宅マッサージを始めて10年が経ちます。「毎週定期的にその時間の中で身体をほぐしてもらったり、いろいろなてあてをしてもらって。これこそ本当に『てあて』だなって思います。感謝しています」と、娘さんは言います。
「不自由な身体になってもくじけない。母はいつも笑顔なんです」/T(娘)
家族がひとつに
Tさん一家は、にんじん、じゃがいも、さつまいも、ごぼうなどの根菜類を中心に生産している農家です。現在は、干し芋の生産加工にも力を入れていて、直売はもちろん、ふるさと納税の返礼品にも採用されています。
「母が倒れる前は、家族が一丸となって仕事に向かっていました。でも、母が病気になってからは、みんなの見る方向が変わって、母を中心に家族がまとまったような気がします。だから、介護はまったく苦にならないんです」と、娘さんは笑みをうかべます。
倒れる前も後も常に家族の中心であり続けるTさん。大輪の花のような明るい笑顔は、家族の愛がある限り、輝きを失うことはありません。
■干し芋に関して
茨城県ふるさと納税の返礼品にも採用されている干し芋は、丸干し・平干しの2種類。添加物の使用しない逸品です。
連絡先/TEL 029-292-4503
受付時間/9:00~17:00(日・祝除く)
販売期間/1月~3月