月刊てあて「特集」

今月の特集

2020年11月2日<135号(2020年11月)>

一日一生、この瞬間を強く生きる

  • 担当マッサージ師 てあて在宅マッサージ福島 梅津正和
  • レポート/てあて在宅マッサージ福島 相談員 佐藤浩子
一日一生、この瞬間を強く生きる
体調がいい時は、車椅子で奥様と一緒に買い物に行くことも。いくつもの死の淵をともに乗り越え、いつも笑顔でいてくれる奥様のSさんには、「感謝の言葉しかない」とYさんは言います。この日てあて福島から贈ったバースデーカードを手に。奥様のSさんと担当マッサージ師の梅津正和。

Y.Sさん(65歳)は、6年前から慢性心不全のためペースメーカーを使用しています。半年前に帯状疱疹(ヘルペス)による肋間神経痛を患い、在宅マッサージを開始しました。これまでに心臓が止まってしまったこと4回。それでも不死鳥のごとく復活しました。一日一日を精一杯生きることの大切さを誰よりも知っています。

心不全と癌と

心不全と癌と
週3回のマッサージでは、痛みやむくみの軽減、筋肉の増強を目指し、一人で歩けるようになるための歩行訓練も行っています。ペースメーカーを装着しているため、施術中は脈拍数、血中酸素濃度を常時確認しています。

 50歳の時に「心電図が異常だから大きい病院に行くように」と言われたものの、症状がなく放置。ある日、突然意識がなくなって、慢性心不全と診断されたのは59歳の時でした。その後、癌も発見されました。
 「癌にもいろいろな種類があって進行が遅い種類のものなのだそうです。10年くらいはそのままで大丈夫と言われました」。再検査でステージ4とわかりましたが、今は治療をしていません。
 定期検診で病院に行く以外は、ほぼ寝たきりの生活ですが、つかまり歩行や歩行器を使っての移動はしています。
 「先日も一人でトイレに行こうとしたら、倒れて起き上がれなくなってしまい、大騒動となりました」と明るく笑うYさん。そこには「どんなに体が動かなくても、トイレくらいは自分で」という強い思いがあります。

一歩一歩、夢に向かって/Y.S

一歩一歩、夢に向かって/Y.S
「歩行訓練は、自分のペースに合わせて寄り添ってくれるので、前向きに取り組めます」とYさん。

神様に生かされている

神様に生かされている
部屋には家族から贈られた『いつまでも元気でいてください』と書かれた還暦祝いのイラスト額が飾られています。

 これまでに、突然心臓が止まってしまったことが4回もありました。その度に、不死鳥のごとく復活しました。現在は最新の埋め込み型ペースメーカーを入れ、非常呼び出しボタンも装備。いざという時はすぐに病院に異常の連絡が行くようになっています。
 入退院を繰り返すYさんですが、「退院後は、しばらくベッドから起き上がることもできません。でもマッサージや機能訓練を行うと体が動くようになるんです」といいます。在宅マッサージは退院前から、ケアマネジャーさんに再開をお願いするほどです。
 マッサージ中、Yさんは「歩けるようになったら、妻と旅行をしたり、美味しいものを食べに行ったりしたい‥‥」という話しをしてくれました。奥様とのささやかな夢をかなえる為、Yさんは在宅マッサージを行いながら、これからも一歩一歩、夢に向かって歩いていきます。