今月の特集
2020年12月7日<136号(2020年12月)>
自立への一歩、背中を押せたなら
- 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ松戸川田勇次
- レポート/てあて在宅マッサージ松戸 相談員 玉城さや香
K.Oさん(41歳)は、生まれつき脳性麻痺を患っています。地元の養護学校に通いながら卒業。18歳で親元を離れて36歳の時に、生まれ育った千葉県鎌ヶ谷市で一人暮らしを始めました。自立をつかみ取るまでは苦労もありましたが「自分のことはできるだけ自分で行い、自立した暮らしを続けたい。そしていろんな所へ行きたい‥」と。今後の目標を笑顔で語るOさんのこれまでの歩みを伺いました。
一歩を踏み出して
小学校入学前に、足の手術を2回経験。その後、中学2年生の時に手術を行い、リハビリのために病院へ通院しながら、鎌ヶ谷で家族と過ごしてきました。
転機が訪れたのは高校3年生の時。偶然知った大分県別府市にある「太陽の家」で、1週間の短期実習に行きました。そこでADL(日常生活動作)に介助が必要だとわかり、同市内のリハビリ施設で5年間自立に必要なことを身につけました。
その後再び太陽の家に戻り、生活の基盤を作りました。寮生活でしたが、そこでたくさんの人と出会い、学び、刺激を受けたというOさん。その後、30年来の恩人の紹介で、山口県宇部市の障がいを持った人が運営する会社で10年間を過ごします。
「勇気があれば、たいていのことは乗り越えられる」/K.O
自立するということ
特に、宇部市での一人暮らしの際に、様々な制度について学んだことが、今の生活に繋がっていると実感するそうです。
初めて一人暮らしをしてヘルパーに入ってもらった時には、限られた時間の中で自分が何をしてほしいのか、意思決定をすることの難しさを実感しました。親元を離れてから、いくつもの壁に立ち向かいながら、自立をつかみ取ったOさんですが、一番重要なのは『勇気』だと言います。
「僕はこの取材を通して、いろんな支援があることを、脳性麻痺の方や障害を持つ方に少しでもお伝えしたいし、実際にやってみてほしい」とOさん。
自立して生活できるまでに成長できたこと、親亡き後を考えて遠方に送り出してくれた両親に心から感謝しつつ、Oさんは、これからも何事にも勇気を持って立ち向かっていくことでしょう。