月刊てあて「特集」

今月の特集

2021年1月31日<138号(2021年2月)>

心に希望がある限り青春

  • 担当マッサージ師/てあて在宅マッサージ飯能 菊池徹郎・伊藤寿得
  • レポート/てあて在宅マッサージ相談員 志村千秋
心に希望がある限り青春
寒い季節は再発に気をつけながらリハビリに励みます。目標はご夫婦でバードウォッチングに出かけることです。元々仲の良いお二人ですが、Kさんのご病気を経て、お互いより協力しあうようになったといいます。そんな優しいご主人のAさんと。

右上枠の写真は、担当マッサージ師の菊池徹郎(左)・伊藤寿得(右)
「リハビリに関しては、ご自身で目標を立てて努力され、麻痺側の手や腕も、鍼の効果で血行も良くなり可動域も拡大してきています」

 シルバーグレイの美しい髪と、若々しい笑顔が魅力のK.Yさんは今年76歳。ユーモアがあって盛り上げ上手の彼女の周りは、常に明るい笑い声があふれています。
2年前に脳梗塞で倒れ、左片麻痺の後遺症が残りましたが、持ち前のバイタリティで、リハビリの目標を少しずつ達成し現在に至ります。優しい笑顔の中には、どんな苦難にも負けない真の強さを秘めています。

目標を決めて

目標を決めて
麻痺側の手を使って、またギターを弾けるようになることが、今の目標です。


 若い頃、当時は希少な職業のため大企業からのオファーも多かった和文タイピストとして活躍。ご結婚後は、植物友の会や野鳥の会などの活動を活発に行い、庭に木を植え花を育て、ギターを奏で、太極拳やスイミングなど体を動かすことも大好きでした。
 平成30年11月に脳梗塞を発症し、左片麻痺に。人生が一変する出来事でした。それでも前を向いて自身で目標を決めてリハビリに努めることにより、少しずつ筋力がアップ。今は、杖を頼りに歩けるまでに回復しました。
生活動作もリハビリの一環として捉え、庭仕事をしたり、料理や洗濯物を干したりと、日々の家事を楽しみながら行っています。

「リハビリは自分のため。何もしなければ前に進めないから」 /K.Y

「リハビリは自分のため。何もしなければ前に進めないから」 /K.Y
「施術を受けると、硬かった腕や指の関節が柔らかくなるの」とKさん。効果を実感すると更にリハビリへの意欲が高まります。

麻痺側の手には毎回、鍼の施術をしています。可動域が少しずつ広がります。

心に希望を

 心に希望を
庭では、千両が赤い実をたくさんつけていました。庭の木は全部挿し木から育てたもので、ご主人も枝を剪定したり、落ち葉を掃除したり手伝っています。


 時には庭仕事をやりすぎて手が腱鞘炎になってしまったり、一人で近くの林に入り、2時間も家に戻れずに、ご主人に心配をかけてしまった失敗談も。
 「家の前の林に昔、自分で名札をかけたウメモドキがあって、たくさんの実がなっているだろうな、と思って歩き始めたら、急な坂道を前に足が動かず歩けなくなってしまったんです」と笑います。
 朝起きたら、庭に咲いている花と話をすること、庭にヤマガラが来て綺麗だったこと、夏になるとトカゲがやってきてジョウロから落ちる水を飲む姿がかわいいこと等など、Kさんの楽しいおしゃべりから日常のワクワクやドキドキが伝わってきます。
 サミュエル・ウルマンの『青春』という詩が大好きというKさん。『年を重ねただけでは人は老いない。理想を失う時に初めて老いる』という一節に特に共感しているといいます。
その詩の通り、Kさんの人生はいつでも青春。心には希望が満ちています。