月刊てあて「特集」

今月の特集

2021年6月28日<143号(2021年7月)>

1歩でも2歩でも前へ進みたい!

  • 担当マッサージ師・レポート/てあて在宅マッサージ所沢 大崎智晴
1歩でも2歩でも前へ進みたい!
「脳梗塞で体が動かなくなって今でも不便な思いはしています。でもその一方でいいこともありました。療法士さんとかマッサージ師さんとか、お互いに励ましあってリハビリをしている方とか、新しい友達が結構できたことです」と話すOさん。どんな時も前向きに生きようとする強い心を持っています。

「運動・リハビリにとても熱心な方で、お話を聞いていてオーバーワークが心配になることがしばしばありますが、ご自身で体調管理を行うなど、向上心は人一倍です」担当マッサージ師/大崎智晴

1歩でも2歩でも前へ進みたい!
 Y.Oさんは、現在76歳。2年前に脳梗塞で倒れ、左片麻痺が残りました。体がまったく動かない状態からリハビリをスタートし、現在は杖をついて歩けるようになるまで回復しました。わずか2年、されども2年。くじけずに頑張ってきたからこその今があります。

重りとなった左半身

重りとなった左半身
これまで傍らでリハビリを支えてきてくれた奥様とご一緒に。昨年、金婚式を迎えたというOさん。奥様に「ありがとう」と感謝の言葉を伝えたそうです。

 脳梗塞を発症したとき、意識がなくなったわけではなかったと言います。
 「お風呂上がりに、妻が異変に気付いて、救急車を呼びました。MRIをとったら、脳梗塞に間違いないだろうと言われました」。
 手術はせずに、点滴で血栓を溶かす療法を選択。入院治療中に少し病気は進行してしまいましたが、1週間後には、すでにリハビリを始めていました。
 最初はきつかったですよ。立つこともできない状態なのに、いきなり3人の療法士さんに支えられて歩かされました」。
 約1カ月後にはリハビリ専門の病院に転院。リハビリでは「何とか動きたいと思うものの、左腕は5kg、左足は10kgの重りをつけているようなものなので、ちょっと動いただけでバランスを崩してしまうんですよ」。

どんな1日を過ごすかが大切なんです。/Y.O

どんな1日を過ごすかが大切なんです。/Y.O
施術は、毎日のリハビリでの疲労回復と関節可動域の改善を目的に行っています。マッサージで全身の血行を促進させ、リラックスしてからストレッチを行うことで筋緊張をゆるめます。

小さな1歩を積み重ねて

小さな1歩を積み重ねて
体の調子が徐々に良くなってきたというOさんは「体調管理をすべて自分の手で行うことができてこそ、リハビリや日常生活が次のステップに進める」という考えで日々過ごしています。

 若い頃は柔道、野球、アーチェリー、ゴルフなど、スポーツ万能だったというOさん。体を動かすのが好きというのが幸いし、退院してからも、毎日リハビリを続けることができました。
 現在は、週5日リハビリ病院に通い、1日は奥様と一緒に1km以上歩く訓練をしています。
 「始めの頃は、休み休みだったので、妻が小さな折りたたみ椅子を持って歩いていましたが、だんだん距離が伸びて、今は椅子は必要なくなりました」。
 あと1年以内には、杖をつきながら一人で歩けるようになることを目標にしています。
 「何もしないでじっとしていても1日は1日です。ならば1日を有効に使ってコツコツ積み重ねることが大切」とOさん。
 大地をしっかり踏みしめて歩くことの幸せを、誰よりも今、実感しています。