月刊てあて「特集」

今月の特集

2021年12月28日<149号(2022年1月)>

「ぬり絵を楽しんで絵手紙を贈る/懐かしい日本の風景編」 出版に寄せて・・・

「ぬり絵を楽しんで絵手紙を贈る/懐かしい日本の風景編」 出版に寄せて・・・

2022新年特集新刊書籍■シリーズ第2弾!
「ぬり絵を楽しんで絵手紙を贈る/懐かしい日本の風景編」出版に寄せて・・・

日本の山河と、地方色ゆたかな田園風景の中に今も息づく町や村を訪ね、人々の暮らしや人情に触れながら、歩く語る食べる泊まる取材の日々――――

絵手紙作家 島崎昌美より

 このたびの『ぬり絵・第2弾』の執筆依頼をいただいた時、そんな夢を見ながら私は、二つ返事で引き受けたものでした。
 しかし、コロナ禍も悪化の一途を進む時期に、自分の年齢や薬袋を抱える暮らしに加えて、妻の健康事情もあり、実際には、夢に沿う資料集めに転じざるを得ませんでした。
 半年に及ぶ資料探しで年が明けた昨年の今頃は、解説を読み、見つめ尽くした資料に基づく下絵づくりを始めていましたが、イメージがふくらむのに反比例して、下絵の方は次第に気が入らなくなっていったのです。
 思い出した言葉がありました。
『犬馬難魑魅易(けんばはかたくちみはやすし)』――画家・松田正平が好んだと伝わるものですが、『誰もが驚くような目新しいものは描き易いが、犬や馬のように見なれた物は むずかしい』という程の意味だそうです。それならば描き易い筈の、めずらしい他郷の風景になぜ、心も筆も立ち往生してしまうのだろう。
 環境が人を作ると言いますが、裸足で野山を駆けめぐり、草むらにころげ回って遊んだ幼少年期のふる里の自然を思いながら、何気なく描いたのが『夏山と青空』(本書掲載の絵は後日、描き直したもの)ですが、雲の様を追って山野を歩くうちに、″自分が腹這いになって抱きしめたような、ふる里の大地をなぜ描かないのか″と、もう一人の自分の声で我にかえり、その後は一気に筆がすすみました。
 どこにでもある、ありふれた風景が多いのは、私の歩いてきた道そのものが表れているのだと思います。

書籍・絵手紙&エッセイ/島崎昌美

書籍・絵手紙&エッセイ/島崎昌美